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AI技術の軍事利用が加速か Googleのペンタゴン協力で物議

Googleの変節?

 このニュースは、Googleがもともと軍とは距離を置いていたことから、より注目されることになった。同社は2011年ごろから、AI・ロボット企業を積極的に買収し、その数は10社以上になる。その際、軍事技術を切り離す姿勢をとっていたとBloombergは指摘している。

 例えば、Googleは2013年11月に東大発のロボット開発ベンチャー「Schaft」を買収したが、同社は「DARPA」(国防高等研究計画局)のコンペから撤退している。また、2014年に5億ドルで買収した衛星画像サービスのSkybox Imaging(後にTerra Bellaに改称)では、防衛関連の契約を打ち切り、3年後に事業自体を売却した。Skyboxの技術は地球上のあらゆる場所の監視が可能で、まさに「北朝鮮のミサイル発射準備」の察知などで威力を発揮するものだ。

 だが最近、その姿勢に変化があるという。昨年8月、James Mattis国防長官がGoogleの本社オフィスを訪問し、AI、クラウド、サイバーセキュリティなどについて議論したことをBloombergは挙げる。その背景には、AWSやMicrosoftとのクラウドビジネスでの競合があると見る。

 そしてGoogleと国防総省との関係で注目されているのは、2016年4月、親会社Alphabet会長(当時)のEric Schmidt氏が、同省が新設した諮問委員会「Defense Innovation Board」(DIB)の初代委員長に就任したことだ。

 DIBは、ハイテク企業幹部や学識経験者で構成され、国防への最新技術の活用を支援する。IT業界からは、InstagramCOOのMarne Levine氏、LinkedIn共同創業者のReid Hoffman氏、AmazonCEOのJeff Bezos氏、そしてGoogle CapitalバイスプレジデントのMilo Medin氏らが選ばれている。

 Bloombergによると、委員会は昨年7月の会議で、ペンタゴンに「企業内に存在する膨大なデータを活用し、何らかの形で利用可能にする」よう推奨したという。