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AI技術の軍事利用が加速か Googleのペンタゴン協力で物議

変わる米軍とIT産業の関係

 いま、AIは世界の軍組織で極めて重要な課題となっている。

 CNASのGregory Allen氏は昨年7月、国の研究機関(IARPA)の依頼で「AIと安全保障」という報告書をまとめた。その中で「過去5年間のAI分野の進展は予想を大きく上回り、機械学習の能力は安全保障への大きな潜在可能性を持っている」「今後の発展によって、AIは国家安全保障のテクノロジーを一変させ、核兵器、飛行機、コンピューター、バイオに並ぶものになるだろう」と結論づけている。

 今月初めのWall Street Journalは、米空軍が最新鋭のF-35戦闘機にセンサーのデータを評価してパイロットを支援するAIを導入していることや、米海兵隊が汎用ヘリコプターの無人飛行テストを行っていることを伝えている。中国、そしてロシアも同様の考えで、いずれもAIの軍事利用に向けて大きなリソースをつぎ込んでいる。

 昨年末の寄稿でAllen氏は、Project Mavenがペンタゴンの“AIへの足がかり”になったとしている。同プロジェクトでは、伝統的な軍の調達方法(機能定義、技術開発、運用のプロセスの繰り返し)を排し、IT産業で一般的なプロジェクト管理の方法を採用したという。

 その方法とは、すなわち「製品プロトタイプとインフラ基盤を繰り返し開発し、継続的にユーザーコミュニティによってテストし、開発者はエンドユーザーのニーズに合わせてソリューションを調整し、エンドユーザー側はAI機能を迅速かつ効果的に使用できるよう組織を整備する」というものだ。

 IT企業は軍を変え、そして、接近しているように見える――。

 3月7日、かねてからクラウド業界で注目の的となっていたペンタゴンのクラウド導入の「RFP」(提案依頼書)ドラフトが発表された。基本契約2年、最大更新8年。単一のベンダーが全てを受注する“勝者総取り契約”といわれている。RFPの正式版は5月に発表され、契約は9月の予定だ。