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VMwareがDellを買収? 続くクラウド/コンテナ時代の模索

存在意義を問われるVMware

 Dellの歴史は、そのままPCの普及からのIT産業の歴史に重なる。同社はPC市場の成長鈍化に伴ってエンタープライズハードウェアに拡大。クラウドの台頭に対してはEMCと合体することで対応してきた。その過程で「四半期の業績に振り回されることなく長期的に戦略を進める」(創業者兼CEOのMichael Dell氏)ことを目的に非公開企業となった。

 EMCはセキュリティのRSAなど複数の企業を「連合」として抱えており、VMwareはその中でも“宝石”と言われてきた。同社は仮想化技術の草分け的存在で、大きなシェアを持つ。

 だが、その後パブリッククラウドが市民権を得るようになり、さらにはOS上にアプリケーション実行に必要なユーザー空間を仮想的に載せるコンテナ技術が注目を浴びる。

 Forbesに寄稿したTIRIAS ResearchのアナリストPaul Teich氏はVMwareのポジショニングを分析して、「IT部門はレガシーアプリケーションインスタンスの実装を管理するにあたって現在でも仮想マシンを使っているが、仮想マシンからコンテナ、そしてプライベートクラウドへの移行が起こっている」と指摘した上で、「だが、その動きは長く、ゆっくりだ」と述べている。

 VMwareも環境の変化に対応しており、2016年末に発表して大きく取り上げられたAWSとの提携(2017年に「VMware on AWS」として実現)、IBMとの戦略的提携(IBM Cloud for VMware)、Microsoft AzureによるVMwareベースのベアメタルインスタンス提供などの手を打ってきた。

 一方、DellとEMC(VMwareを含む)の合体によって、競合他社はVMwareの代替技術を探り始めているともいう。その多くが、プライベートフレームワークとの提携、あるいは投資という形で表れている。代表的なものが、OpenStack、そして顧客が自社データセンターでAzureパブリッククラウドを利用できる「Microsoft Azure Stack」、さらにコンテナオーケストレーション「Kubernetes」を抱えるCloud Native Computing Foundation(CNCF)だ。

 こうした流れから、Teich氏は、逆買収が成立すれば、ライバルたちの動きが活発化して「プライベートクラウドへの投資が加速する」と予想する。