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二人のDianeでクラウド事業テコ入れ GoogleにDiane Bryant氏が参加

独自ハードウェアを加速か?

 Googleの方向性とBryant氏の相性の良さを思わせるものにAIがある。Bryant氏はIntel在籍中、深層学習ベンチャーのNervanaを買収した。また、Bryant氏の下で発表したサーバー向けチップ「Xeon Phi」はAIワークロードの処理を特徴の1つとしている。

 2016年のIntelのイベント「Intel Developer Forum(IDF) San Francisco」で、Bryant氏は「ディープラーニングのソリューションは黎明(れいめい)期だが、市場は爆発的に拡大するだろう」と述べ、ニューラルネットワーク向けGPUで脚光を浴びているNvidiaとの戦いを宣言した。

 Venture Beatによると、この時、Bryant氏はGoogleが開発したTensorFlow向けASIC(特定用途向けIC)の「TPU」(Tensor processing unit)に触れ、「素晴らしいことだと思う」と絶賛。TPUがディープラーニングで提供するような高度なアクセラレーション機能をXeonに統合することが、われわれの仕事だと述べていた。

 クラウド業界では今、専用ハードウェアで性能を引き上げるという流れが強まっている。Microsoftは今年、FPGA(現場でプログラム可能なLSI)を利用してAIの高速処理を実現する「Project Brainwave」を発表。AWSも独自ASICを組み込んだベアメタル基盤「Nitro System」を開発した。

 汎用CPUを搭載したコモディティPCを基盤としたデータセンターから、独自ハードウェアを組み込んだ高密度なデータセンターへの移行が、クラウドベンダーの勝敗を左右するかもしれない。チップの技術と市場に深い知識と経験を持つBryant氏が、そこで重要な役割を果たすと考えるのは自然だろう。

 今回のBryant氏起用にあたって、1人目のDianeを再評価する声もある。CNBCによると、MicrosoftのCFO、Amy Hood氏はDiane Greene氏について、「素晴らしいリーダーであり、確立された企業のCEOだ」と語っているという。