Infostand海外ITトピックス

Appleの自動運転車プロジェクトが規模縮小、難しい“iPhoneの次”

Googleは、既に自動運転車計画を縮小

 自動運転車自体の開発からソフトウェア開発のみに規模縮小するのは、Appleだけではない。New York Times、Bloombergなどのメディアは、Googleの動きも同様だと指摘する。Googleの持ち株会社Alphabetは2016年末、これまで、先進プロジェクト部門Google Xの下で進めてきた自動運転の取り組みを、Alphabet傘下に立ち上げた企業Waymoに移管した。

 Waymoは自社で自動車を製造する代わりに、専業自動車メーカーFiat Chrysler Automobiles(FCA)と組む。自動運転の部分を技術供給するが、自動車そのものはメーカーに任せるモデルをとっている。FCAは自社の「Pacifica」にWaymoの技術を搭載したモデルを開発し、テストも進めている。Waymoは5月には、UberのライバルLyftとも提携した。

 Business Insiderは、Waymo、そしてUber(Daimlerと提携)、Lyftに出資するGeneral Motors(GM)などの動きに触れながら、Appleの技術を実際に見た匿名の自動車専門家の証言を紹介している。その技術レベルは、「Googleの3年前の状態」であり、「Appleは遅れを取り戻そうとしているだけ」という。

 自動運転車をめぐる紆余曲折には、iPhoneの成功後、次の大ヒットを放てないAppleの苦悩も見え隠れする。iPad、Apple WatchはどれもiPhoneほどのインパクトは持てず、iPhoneは今でも同社の売り上げの半分を占めている。Titanは同社の大きな期待を背負い、最高デザイン責任者、Jonathan Ive氏までが意見を挟むなど、ベテランが絡んだことが逆に凶と出たようだという。

 また、自動運転向けのOS「CarOS」についても、Appleのプログラミング言語Swiftにするのか、業界標準のC++にするのかで意見が分かれるなど、巨大プロジェクトの明確なビジョンを描けなかったとNew York Timesはまとめている。

 それでも、Appleへの注目度が大きいのは間違いない。Autotraderのアナリスト、Michelle Krebs氏はBloombergに次のように述べている。

 「Appleは、自動運転車の覇権争いにおけるワイルドカードだった。体制が整えば、他の分野での実績を考えても、その影響力は大きい」