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「Windows 10 S」ついに発表、Windowsの新しい挑戦

Windows 10との違いは

 教育向けのイベントをお披露目の場にしたことに見られるように、Windows 10 Sが狙うのは学校だ。ビジネスやホームユースのパソコンOSはWindowsが主だが、現在、米国で教育市場を制しているのはGoogleのChrome OSだ。

 市場調査会社のFuturesource Consultingによると、2016年の米国のK12(幼稚園から高校までに相当)におけるPC(ノートPC、タブレット)市場は、Chrome OSが58%のシェアを持ち、2位のWindows(シェア22%)を大きく引き離している。Chrome OSのシェアが2014年は38%、2015年は50%と増えているのに対し、Windowsは、2014年の25%から、2015年には22%に縮小している。

 Chrome OSの成長は、搭載ノートPCのChrome Bookが比較的安価なほか、クラウド型グループウェア「G Suite」が用意されていることや、タスク管理、デバイス管理がしやすいことなどが要因になっているという。チャレンジャーとなるWindows 10 Sは狙い通りに食い込むことができるのだろうか? メディアは早速、その特徴を分析している。

 Forbesは、Windows Storeから入手したアプリケーションのみを動作させるという点について、「安全のため」とするMicrosoftの主張を認めつつも、今のWindows Storeは“不毛の地”とこき降ろす。「Chrome(ブラウザ)もFirefoxもだめだし、iTunesもない。ゲームも選択肢がほとんどない」と手厳しい。

 Edgeだけではなく、検索サービスもデフォルトのBingから他のサービスに変更することができない。Forbesはこれらを「バッドニューズ」とし、CNETも「実に腹黒い戦術」と表現した。

 CNETはさらに、選択肢がないという点について、かつて欧州連合(EU)がMicrosoftのWindows Media PlayerのOSバンドルを独占禁止法違反と判定したことに触れながら、「デフォルトを変更できない場合、子供や親は、学校が選んだと考えるだろう」「子供に、ソフトウェアはデフォルトのままで良いと教えることになる」と批判した。特に検索エンジンについては、選択肢が与えられないままデフォルトに縛られている状態は「検閲につながる」と、Microsoftのやり方を批判している。

 Forbesは、MicrosoftがWindows 10 Sで持ち込むアプリケーションの制限について、失敗に終わった「Windows RT」とも対比させて分析。「Windows RTが失敗した理由はそれだけではなく、時期が早すぎた。あれから5年、MicrosoftはクラウドベースのChrome OSの成功こそ、Windows 10 Sにとって機が熟した証とみているはずだ」と述べている。