Infostand海外ITトピックス

Microsoftが「Windows 10 Cloud」開発中 共通シェルのプロジェクトがカギ?

Chrome OSに対抗するOS

 Cloudという文字から、多くはGoogleのChrome OSのようにクラウドを前提としたOSを想像している。Jo Foley氏は消息筋の情報として、「AzureからストリーミングされるWindows 10ではなく、絶好調のWindows 10 Enterprise E3/E5に加わる新しいWindows 10サブスクリプションプランでもなく、いまだ存在しない“Windows 365”でもない」とした上で、Windows 10 Cloudは「Windows 10の簡素化バージョン(simplified version)」であると述べている。

 「簡素化バージョン」とは何だろう。Jo Foley氏の情報源によると、Microsoftのアプリストア「Windows Store」からインストールした「Unified Windows Platform(UWP)」アプリのみを動かすことができるものだという。「以前“Windows RT”または“Windows 8.1 with Bing”として知られていたものに似たWindows 10のバージョンと思えばよい」とJo Foley氏は解説する。

 これを受けて、The Vergeは、Windows 10 Cloudを、Chrome OS、さらにApple 「iPad」に対抗するもの、と分析した。「MicrosoftはWindows 10 Cloudを、PCメーカーが低コスト、または無料で利用してPCを構築できるOSと位置づけることができる」と述べている。

 一方、ZDNetは、Windows 10 CloudをWindows RTからの流れの中で論じている。

 Windows RTは2012年に登場したARM向けの「Windows 8」の流れをくむOSだ。初代Surfaceなどに利用されたが、2015年に終了。成功とは言い難いものだった。理由はいくつかあるが、その1つとして通常のWindowsアプリケーションが利用できなかった点は大きい。Microsoftが同OS用に用意した「Office 2013 RT」の機能は限定的だと指摘されていた。

 ZDNetのRoss Rubin記者は、2014年時点で「Windows RTはChrome OS対抗となり得たのに」と見ていたことを振り返りながら、今回のWindows 10 Cloudを、「x86以外のプロセッサにWindowsを拡大するMicrosoftの長期的取り組みの一部」と見た。Microsoftは2016年末、中国・深センで開催した「WinHEC Shenzhen 2016」でWindows 10のARMへの対応を発表。QualcommのモバイルプロセッサSnapdragon向けに開発することを明らかにした、と流れを説明する。

 Jo Foley氏の情報では、Windows 10 CloudではUWPアプリのみが動くということになるが、Rubin氏は「Microsoftはなぜ歴史を繰り返すのか?」と問いかけながら、現在は状況が大きく変わったと指摘する。すなわち「インターフェイスの一貫性のなさ、アプリの不足は十分に最小化されている」というのだ。