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値下げ合戦は終わった パブリッククラウドは機能競争へ向かう

ユーザーはどこを見てベンダーを選ぶべきか?

 ZDNetは、そもそも値下げ競争が起こった理由として、大規模なクラウドデータセンターを構築したことで得られるスケールの効果であり、既存顧客の保持と新規顧客の獲得を狙ったものだったと解説する。一方で、価格ではなく機能で差別化を図る「クラウド機能戦争」に向けた動きも着目している。

 その一例が、AWSによるイタリアのソフトウェア・サービス企業NICEの買収や、GoogleによるApigee、Orbiteraの買収だ。今年2月に買収されたNICEのサービスは、高性能コンピュータ(HPC)と仮想化ワークロードの最適化が図れるという。

 このときのZDNetの記事では、NICEのような小規模なソフトウェア企業を買収してAWSがニッチなニーズに応えることが、「クラウドの戦いが2014年の“価格競争”から2016年以降に“機能競争”にシフトするために重要になる」というアナリストのコメントを紹介している。

 GoogleによるApigee、Orbiteraの買収はそれぞれ今年9月と8月に発表された。ApigeeはAPI管理、Orbiteraはクラウドコマースプラットフォームの会社だ。Deutsche Bankの9月のレポートは、Googleが機械学習、AIにフォーカスすることで差別化を図っていることにも触れている。

 こうした機能へのフォーカスは、クラウドが完全に普及していないエンタープライズ市場への足がかりとしても有用だという。ZDNetは今年2月の記事で、「2015年、大企業がクラウドを採用する転換点を迎えた。クラウドコンピューティングの次のバトルがクラウドの機能に移って始まる」とのアナリストのコメントを紹介していた。来年はさらに本格化するだろう。

 ユーザーはどのように対応すればいいのだろう――。Deutsche Bankは、クラウド事業者の技術ロードマップを確認すること、長期的なサービスの潜在性に着目して事業者を選ぶこと、を勧めている。