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「サイバーセキュリティ法」可決、中国がサイバー空間の規制をさらに強化

 中国の「サイバーセキュリティ法案」が可決された。中国政府のサイバー空間での統制を強化するもので、1年4カ月前の草案発表以降、国外企業を中心に反対の声が強い。政府側は、サイバー攻撃などの脅威が増していることに対応するものとしているが、曖昧な部分を多く残しており、その影響はいまだに測れないままだ。

国外企業、人権団体からの反対

 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)委員会は11月7日、「サイバーセキュリティ法案」を可決した。サイバー空間のセキュリティ強化を目的に、「ネットワークオペレーター」と「重要な情報インフラストラクチャオペレーター」の義務や罰則を定める。2017年6月に施行される予定だ。

 同法については、2015年7月に初の草案が公表されて以来、多くの懸念や批判が浮上していた。今年6月に2回目の草案が公表された後、関係する外国企業が政府に陳情。8月には世界の40以上のグローバル企業団体が李克強国務院総理(首相)宛ての書簡で反対を表明している。

 政府側の法導入についての説明は「客観的必要性」だ。全人代は「中国はインターネット大国であり、大きなインターネットセキュリティリスクに直面している。完全なネットワークセキュリティ法体制の確立は急務」と説明している、とReutersが伝えている。

 同法には国外企業などからの反対が強い。The Economistは「セキュリティのルールが他の目的を追求するために使われるのではないか」(ドイツの在中国大使、Michael Clauss氏)との懸念や、「これは中国におけるイノベーションという点で後退だ。セキュリティを大きく改善する類ではない」(在中米国商工会議所のJames Zimmerman会長)などの批判を紹介している。

 反発しているのは企業や経済団体だけではない。人権擁護団体からも検閲強化を危惧する声が上がっている。「国際的に幅広い懸念が企業や権利擁護団体から表明があったにもかかわらず、中国政府は意味のある変更を加えることなく法案を通過させた」と国際人権組織のHuman Rights Watchの中国担当ディレクターはReutersに述べている。