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値下げ合戦は終わった パブリッククラウドは機能競争へ向かう

価格競争は2014年のピークから落ち着いた

 AWSがリードしてきたパブリッククラウドの値下げ競争には変化が起きている。Deutsche BankのEquity Researchは11月21日に出した顧客向けレポートで、クラウドの価格競争がひと段落したと指摘している。

 CIO Diveがまとめたレポートのポイントによると、まず「クラウド事業者の価格競争は2014年をピークに減速している」という。原因は最大手のAWSの価格に対するライバルの対応だ。

 AWSのベーシックなサービスの価格は2014年以降も、毎年10~20%下がっている。だが、それまでAWSの発表の翌日あるいは数時間のうちに対抗値下げを発表していた他社の対応が、「理性のあるもの」になったというのだ。

 今回のAWSの値下げを伝えたNetwork Worldは「単位価格は安定して下がっているが、少なくともAWSとAzure(Microsoft)の収益については、ボリュームの増加と内部コスト効率化の結果、健全に成長している」とのDeutsche Bankのレポートを引用している。

 Deutsche Bankによると、AWS、Azure、Googleの3者はともに、値下げの中でも強い成長を見せており、「結論として、AWSの比較的、理にかなった値付けは、(クラウドコンピューティングの)メガトレンドと、三大クラウドベンダーの利益率改善、というわれわれの確信を裏付けている」という。

 こうした値下げ合戦の鎮静化のメリットは少なくとも2つありそうだ。1つ目は、クラウド事業者の財務状態が健全になる。2つ目は価格よりも、機能などで勝負するようになる、ということだ。