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VRはメインストリームになるのか? 2016年から見る

最大のライバルはAR?

 VR関連でずっと注目されているのがAppleだ。HMDの特許を取得していたことが明らかになったことなどから、参入のうわさが絶えない。だが、これまでのところ動きはなく、CEOのTim Cook氏は、むしろVRに対しては否定的な発言を繰り返している。ABCのインタビューにCook氏は、次のように述べている。

 「VRは、一種の閉じ込めをするもので、すごくクールな体験に没入できる。だが、たぶん、そのうち商業的な関心は下がり、VRに興味を持つ人は少なくなるだろう」「VRがあり、ARがある? いずれも途方もなく興味深いものだ。しかし、私の考えでは、ARの方が大きなものになる。おそらく、はるかに大きくだ」

 Pokemon GOの成功が、世界中にARの可能性を見せつけた。現実世界の上に重ね合わせた仮想オブジェクトに“存在感”を与えるARの方が、VRよりも成長力がある、とCook氏は言う。しかもARでは、本格的なVRで要求されるようなハイスペックなハードウェアは必ずしも必要ない。コンシューマーに受け入れられるのは、まず、ARだ――そう考える専門家は多い。

 Gartnerは最近まとめた、2017年から先のIT組織およびユーザーの予測レポートで、トップに「2020年までに1億人のコンシューマーが、ARで買い物をする」ことを挙げた。

 ARアプリケーションは、現実の世界に、テキスト、イメージ、ビデオ、音声などのデジタル情報を重ねて、店の中や他の場所で、より深い「エンゲージメント」を得られるとGartnerは指摘する。この現実世界という要素が、ARアプリをVRから差別化するという。

 例として挙げているIKEAのカタログアプリは、現実の自宅の部屋の中に、欲しい家具を“置いて”選ぶことができる。全く新しいショッピング体験を提供するものだ。

 別のGartnerのレポート「2017年のトップ10戦略技術トレンド」では、VRとARの融合も予測。「VRやARの技術は、個人や他者の交流や、ソフトウェアシステムとのやり取りを変革する」としている。

 VRは、ARと出会うことで、メインストリームになるということなのだろう。