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仮想化とパブリッククラウドの両王者が急接近 VMwareとAWSの提携

 VMwareとAWSが戦略提携を発表した。それぞれ少し前まで対立的な関係にあったサーバー仮想化とパブリッククラウドの大手だ。この提携によって、ユーザーはAWSのデータセンター内でVMware仮想化ベースのプライベートクラウドを動かせるようになる。クラウド業界の競合に及ぼす影響に加え、VMwareのしたたかな戦略シフトも注目される。

AWSインフラ上にVMwareプライベートクラウドを構築

 サンフランシスコで開催された発表会では、AWSのAndy Jassy氏とVMwareのPat Gelsinger氏の両CEOがそろって、「VMware Cloud on AWS」を発表した。AWSのクラウドインフラ上でVMwareの「vSphere」ベースのクラウドサービスを稼働。VMwareのサーバー仮想化技術スイートのvSphere、さらにネットワーク仮想化の「NSX」、ストレージ仮想化の「Virtual SAN」も利用できるようになるという。

 顧客は、VMwareの「vCenter」管理ツールを利用して運用・管理する。これらを、AWSのEC2などのクラウドインフラではなく、物理サーバー上(ベアメタル)で構築できるようになるのがサービスのポイントだ。

 顧客はこれによって、AWSが管理するデータセンターで、自社が利用しているVMwareアプリケーションを稼働させることができる。使い慣れた管理ツールや環境を利用しながら、ハイブリッドクラウドを実現できるということだ。

 リソース量に応じて3種類があり、サブスクリプション形式で課金される。VMware顧客は既存ライセンスを適用できる。スケジュールは、2017年初めに招待制ベータとして限定的に提供を開始。その後、正式提供する予定だ。料金は公表していない。

 両社はほかに、VMwareはAWSをパブリッククラウドの優先パートナーに、AWSはVMwareをプライベートクラウドの優先パートナーにするなど、関係を密にしてゆくことも明らかにした。