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IT業界に大規模人員削減? クラウド化が加速も

大規模削減は実施に起こっているのか?

 今年に入ってのIT大手企業の人員削減はどうか。4月にはIntelが全従業員の約1割にあたる1万2000人の削減を発表。Microsoftは5月に1850人の削減を発表し、7月には2850人を追加で削減する計画を年次報告書で明らかにした。企業分割したHPでも引き続き人員整理が行われている。そして8月、Ciscoの大規模カットがあって、誰もがIT企業の大リストラの予言を思い起こした。

 だが、再就職コンサルタントのChallenger, Gray & Christmasが8月18日の時点でまとめたIT業界の人員削減は6万3000人で、Chowdhry氏の言う33万人には、まだ、かなりの開きがある。一方、Chowdhry氏の方は強気で、8月17日に予想を37万人まで引き上げたという。他のアナリストからも同氏の計算は悲観的すぎるとの見方も出ている。

 最終的にどうなるかはまだ分からない。今年もまだ10-12月が残っている。Chowdhry氏の言うようにIT業界がさらにすさまじい人員削減を敢行することもあるかもしれないし、実際にはそこまで行かないかもしれない。

 だが、同氏が挙げる大幅削減の要因は本質を突いている。今年の話にはならなくても、IT企業は「ハードから、サービスとソフトウェアへ」の道を加速してゆくだろう。“不要”とされた従業員には道はないのだろうか。

 テクノロジーコラムニストのSteve Tobak氏はFox Businessで、消えた雇用をなんとかできるかもしれないと述べている。

 「何十億というスマートIoTデバイスが、いったん膨大な量のセンサーデータを送り始めたら、ネットワークトラフィックは指数関数的に膨らむ。そうなると、リアルタイムサービスはコンマ何秒の遅れも許されず、厳密な判断のため正確な位置情報が必要となり、ネットワークの“edge(終端)”に近い場所での処理が有利になる。そこで、IoTアプリケーション向けのオンプレミスあるいは小さなデータセンターが活用されるようになる。いわゆる“fog”だ」

 「Fog computing」は、データが生成される場所にアプリケーションを近づけるという発想だ。クラウドのデータセンターだけでなく、クラウドから見たネットワークの終端に分散処理環境を構築する、これが「edge」となる。そして、ここに構築したアプリケーションの処理環境を「fog」と呼ぶ。エンドユーザーからは、遠くで見る「雲」でなく、近い「霧」に見えるため、その名がつけられたという。

 巨大なパブリッククラウドに集約されたアプリケーションが、次世代のニーズで再び分散環境にシフトして、新たな雇用ニーズが生まれるというシナリオだ。ここに希望を持ちたいというTobak氏は、次のように結んでいる。

 「最終的に、fogには、クラウドで削減された多くのITの雇用を救うチャンスがあるだろう。これも時間がたてば分かる」