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「2025年までにAI産業で世界をリード」 中国のAI熱

 中国がAI分野への攻勢を強めている。同国の検索最大手Baidu(百度)は先ごろNVIDIAと提携、自動運転車向けプラットフォームを世界に提供すると発表した。世界の企業がしのぎを削る自動運転分野で優位に立ちたい考えだ。中国では、Baiduのような超大手からスタートアップまで、AIブームが起きている。

「AIを次の柱に」Baidu

 Baiduが9月初めに開いた年次会議「Baidu World Conference」の主役はまさにAIだった。NVIDIAとの提携で開発するプラットフォームは、同社の車載コンピュータ「Drive PX」シリーズや、Baiduが中国各都市の隅々の街路までを収めた高精細地図技術を組み合わせる「エンドトゥーエンドのシステム」(NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO)という。

 両社はディープラーニング技術を活用した自動運転技術をそれぞれ開発しており、Baiduは2018年末までに自動運転タクシーを実用化する計画を明らかにしていた。自動運転車プラットフォームでは、それぞれの強みを合わせ、中国内のみならず世界のメーカーに提供する計画だ。BaiduのRobin Li CEOは「われわれは、過去5~6年間、この技術を開発するために多大な努力をしてきた」と語っている。

 また年次会議では、社内開発に使ってきたディープラーニングのツール「PaddlePaddle」(PArallel Distributed Deep LEarning)をオープンソースで提供することも発表した。Facebookの「Torch」やGoogleの「TensorFlow」などのオープンソース化を追う格好だ。PaddlePaddle責任者のXu Wei氏によると、ディープラーニングの経験が浅い開発者でも使える簡単さが売りだという。

 Baiduは2013年にシリコンバレーにディープラーニングの研究所「Institute of Deep Learning」(IDL)を設立。翌年、元GoogleのAIプロジェクト責任者で、スタンフォード大学客員教授のAndrew Ng氏をトップに迎え入れた。同氏は現在、Baiduのチーフサイエンティストを務めており、一連の発表はその成果と言える。

 Baiduは、年次会議の直前、以前から進めてきた「食品運搬ドローン」プロジェクトを打ち切って、よりAIに資源を集中することも明らかにしている。