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OracleがNetSuiteを買収 クラウド「100億ドル」レース

Benioff氏はクールにコメント

 アナリストたちはどうみているのだろう? Edward Jonesのアナリスト、Bill Kreher氏は「この買収は、Oracleの長期的な血統と戦略の点で一貫性がある」と評価している。NetSuiteの創業者Goldberg氏は元Oracle幹部であり、Ellison氏はGoldberg氏がNetSuiteを創業する際に資金面で支援した関係だ。

 Technology Business Researchのアナリストは、Oracleのクラウド戦略がこれまでマーケティングとデータを中心としていたことに触れ、「NetSuiteはOracleのERPポジションを強化し、クラウドアプリケーション戦争を援護するものになるだろう」とし、「論理的な買収」と結論した。

 買収は、このように概ね好意的に受け止められているが、厳しめの見方もある。Business Insiderは、両社の製品オーバーラップはそれほど多くないが、買収はOracleのクラウドの開発が「停滞している」ことを裏付けるとのUBS Groupのアナリストのコメントを紹介している。

 また、SunTrustのJohn Rizzuto氏は、Oracleは93億ドルという額をほかに使うべきだったとしながら、「両社の組み合わせが意味のある技術・製品シナジーを生むとは予想していない」と厳しめのコメントを寄せている。市場には、ほとんどインパクトを与えないとの見方だ。

 実際、ライバルたちは、少なくとも表面上は動じていないようだ。Salesforce.comの共同創業者、Marc Benioff氏は、OracleのNetSuite買収を懸念しているか質問したBusiness Insiderに対し、「ノー」と答えた。Benioff氏は「Oracleはクラウドでなんとかして成長しようともがいているが、目標を達成できてないことは明らかだ」と述べたという。

 なお、アグレッシブなEllison氏が掲げた100億ドルの売上目標とは、Benioff氏がここ数年ことあるごとに口にしているSalesforce.comの目標でもある。

 NetSuiteのGoldberg氏も、Benioff氏もかつてはOracleでEllison氏の下で働いていた経歴を持つ。元部下の会社を買収し、別の元部下の会社とは頂点を争う――。3社の関係は、ソフトウェア業界のトレンドの変遷と競合の激しさを表しているようだ。