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“ノークラウド企業”は2020年までに絶滅 「クラウドオンリー」も拡大

バイモーダル化とハイブリッドクラウドの一般化

 こうした企業の積極的な動きの背景には、やはりGartnerが提唱している「ITのバイモーダル化」があるだろう。

 バイモーダルは、基幹システムなど拡張性と効率、安全性、精度を重視する「モード1」システムと、逐次的ではないアジリティとスピードを重視する「モード2」システムからなる。この2つの流儀の両方を企業ITは備えていなければならないというものだ。

 「モード2」は、顧客の声や環境の変化に迅速に対応し、何度でも差し替えてスケールアップやスケールダウンができるのが特徴。アプリケーションを短いサイクルでアップデートし、必要に応じて展開し、あるいは撤退できねばならない今のビジネスでは必須だ。こうしたものは、クラウドで展開するのが妥当だ。

 こうして、企業システムのクラウド利用は不可避の流れになっている、というのがGartnerや他のアナリストの見方だ。そして、大企業ではパブリックとプライベートのハイブリッドクラウドが最も一般的になっていくという。

 さらに、クラウドプロバイダーの収益構造も変わる。Gartnerによると、2019年までに仮想マシンの多くはIaaSプロバイダー経由の配布となり、2020年までにはIaaSとPaaSの売上が550億ドルを超えてサーバー収入を上回る見込みという。

 こうした中でベンダーに求められるものは何か。Gartnerのヴァイスプレジデント兼ディスティングイッシュドアナリストのThomas J. Bittman氏は、次のように説明する。

 「バイモーダル・コンピューティングとクラウドプロバイダーのサービスの成長で、ソフトウェア定義エンタープライズデータセンターの中枢としての重要性は薄れ、強力なマルチプロバイダーの管理能力が重要になってゆく」「大企業もベンダーも、オンプレミスとオフプレミス、クラウドとノンクラウド技術のハイブリッドコンビネーションの管理と利用にフォーカスしなければならない」。