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コンテナ利用が着実に増加、課題は「セキュリティ」から「管理」へ

 コンテナ技術が、企業コンピューティングで一大ブームを巻き起こしている。ソフトウェア開発で急速に採用され、さらに広がる勢いだ。最近の2つの調査で、その様子が明らかになった。コンテナを利用する開発者は1年でほぼ倍増して、4分の3に達するなど、コンテナの普及ぶりを裏付けるものとなった。一方、懸念については管理やセキュリティなどが挙がったが、実際の利用に必要な永続ストレージなど規模拡張に関するものが上位に浮上した。

コンテナはメインストリームへ

 ClusterHQと、Cloud Foundry Foundationが6月中旬に、それぞれ、コンテナの利用や現状についての調査結果を発表した。ClusterHQはコンテナデータ管理技術を提供するベンダーで、Cloud Foundry FoundationはオープンソースのPaaS「Cloud Foundry」を開発する非営利団体だ。Docker1.0版のリリースから2年。2つの調査では、ともにコンテナ技術が着実に普及していることを示す結果となっている。

 ClusterHQの調査はIT担当者約310人を対象としたもので、運用環境でコンテナを利用しているかを聞き、76%が「利用している」と回答した。これは「利用していない」の20%の4倍近くとなり、2015年と比較すると96%の増加という。

 コンテナの利用がビジネスとITの期待を満たしている、あるいは上回っているという企業は72%に達した。また自社の投資内容を知っているという回答者のうち、52%がコンテナ技術に投資していると述べた。

 これらから、コンテナはITとビジネスの両方で期待を満たす技術として認知され、企業の投資が強化されつつあるという現状が分かった。業界としては、アプリケーション開発、クラウドサービスやインフラプロバイダでの利用が多かった。

 Cloud Foundry Foundationの調査は、より大規模なもので、米国、日本など7カ国710人以上のIT決定権者に聞いた。規模は従業員数100人以上の組織や企業で、1万人以上の大型企業も10%含まれている。結果は、「コンテナを実装済み」は22%、「評価中」は31%だった。実装済み・評価中の中でみると、16%が「メインストリーム技術として利用」と回答、64%が「1年以内にメインストリーム技術になる」とした。

 このように、両調査はコンテナの利用が着実に普及しつつあるというトレンドを数字で裏付けている。ClusterHQの調査によると、製品としてはDockerが94%を占めていた。

 なお、Dockerに限定して1万社のサンプルから調べたモニタリングのDatadogによると、サーバーホスト数の多い企業ほどDockerコンテナの利用数が多かった。「500以上のサーバーホスト」を持つ企業での採用は、ホスト数が「100-499」「1-99」の2カテゴリを超えていることがわかった。「大企業は、小規模企業よりも迅速にDockerを受け入れている」とDatadogは記している。