クラウド特捜部
日本データセンター開設でWindows Azureはどう変わる?
(2014/3/14 06:00)
2月26日からMicrosoftのパブリッククラウドサービス「Windows Azure」の日本国内のデータセンター(実際は複数のデータセンターから構成される)が稼働した。
今回は、Windows Azure(以下、Azure)の日本データセンターのサービスやコスト、日本データセンターが持つ意味などを解説していく。
リージョンによって提供されるサービスが異なるWindows Azure
Azureの日本国内データセンターは、東日本(埼玉)と西日本(大阪)の2カ所が開設された。これにより、日本国内でのディザスタリカバリ(DR)が可能となった。さらに、既存のデータセンターと組み合わせれば、ワールドワイドでのDRも可能になる。
国内データセンターを開設すること自体は、前CEOのスティーブ・バルマー氏が日本へ来日した2013年5月に発表されたが、それから約1年かけてのオープンとなった。ただし2月26日にサービスインしたとはいっても、数カ月前から36社が早期導入テストを行っていたことからもわかるように、実際には2013年の秋から冬には、データセンターの運用は始まっていたと思われる。
もともと、Azureは高い可用性を持っている。Computeサービス(仮想マシン、Webロール、Workerロールなど)は、同じデータセンター内に複数(3つ以上)の複製が用意されている。
もちろん、複製は同じノードではなく、可用性を高めるために別のノードに作成されるし、ストレージに関しても複数の複製が分散して用意される。こういった仕組みにより、ノード単位でトラブルが起こったとしても、システム全体で運用が停止するといったことがほとんどなくなる。
ただ、一口にAzureといっても、北米と日本のデータセンターで提供されているサービスは異なる。どちらかといえば北米はフルセットのサービスで、日本はサブセットになっている。また、東日本と西日本で提供されているサービスも異なる。
例えば、Mobileサービスやビッグデータの解析を行うHDInsight、BizTalk Serviceなどは、日本のデータセンターでは現時点で提供されていない。Media Serviceは西日本データセンターだけで提供されている一方、ネットワークのVirtual Networkは東日本データセンターだけで提供されている。
このように日本のデータセンターでは、Azureのすべてのサービスが提供されているわけではない。日本国内で提供されていないサービスを利用するには、距離的に近い香港もしくはシンガポールといったアジア太平洋地域のデータセンターか、あるいは北米のデータセンターを使う必要がある。
現時点では、最低限必要なAzureのサービスを提供するデータセンターが日本に設置されたと考えるべきだろう。将来的に日本国内でAzureを利用するユーザーが増えていけば、国内のデータセンターの規模も大きくなり、各種サービスも日本国内のデータセンターで提供されていくようになるだろう。