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長野市民病院が「Azure」採用、大災害に備えた電子カルテデータ保全に

 日本マイクロソフト株式会社は6日、公益財団法人 長野氏保険医療公社 長野市民病院が、大規模災害に備えた電子カルテデータの保全に「Microsoft Azure(以下、Azure)」の日本データセンターが採用されたと発表した。長野市民病院は、理想的なバックアップ環境を圧倒的に低コストで運用し、24時間365日の救急医療を災害時にも提供できる体制作りを実現する。

 長野医療圏の中核をなす医療機関の1つである長野市民病院。1995年にいち早くオーダーリングシステムを導入するなどICT活用に積極的で、電子カルテなどの院内システムにより、各分野のスタッフがそれぞれの専門性を生かして連携する「チーム医療」を実現するほか、ETL/BIツールで院内システムからデータを抽出し、日々の患者数や病床利用率などを自動的に可視化する仕組みも確立している。

 1つ課題として残っていたのが、災害時診療継続を支えるデータバックアップの実現だった。院内でネットワークやデータの二重化を図っていたが、東日本大震災や長野県北部地震を経験し、それだけでは安心できないと痛感。2011年以降、3年間にわたってITソリューションを検討してきた結果、2014年9月にAzureとAzureをバックアップ先として運用できる「QNAP Turbo NAS」の採用を決めた。導入は短期間で完了し、2014年10月からは運用を開始。同院ではこの手軽さを評価し、「クラウドサービスの最大の利点は、スモールスタートが切れること」と述べている。

 Azureの西日本データセンターにより遠隔地バックアップを実現し、三重化されたデータ保全を実現した同院では、今後の展望として、院内システムの仮想化・クラウド化も視野に、さまざまなアイデアを検討している。

川島 弘之