クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

従来モデルの良さを継承した中小規模向けVPNルーター――RTX1220

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2021年春号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2021年3月31日
定価:本体2000円+税

RTX1220

 読者の中にも“ルーターはヤマハ”と決めている、いわゆるヤマハファンの方も多いかもしれない。そんな人にはとくに朗報となる、ヤマハの新ルーターが2021年4月に発売される。中小規模向けのギガアクセスVPNルーター『RTX1220』で、従来モデルであるRTX1210の後継となる機種だ。

 RTX1220は、従来機RTX1210からISDNと高速デジタル専用線関連の機能を除いて、その他の機能と性能を継承したうえで希望小売価格を若干抑えたモデルだ。スペックや使い勝手に大きな変化はなく、さらにネットワークの運用管理を支援してしてくれる機能を新たに利用することも可能だ。

 まずRTX1220のスペック面から見ていこう。筐体サイズは220(W)×42(H)×239(D)mm(ケーブル、端子類を含まず)でLANポートは10、最大消費電力は最大14.5W(28VA)と、従来モデルであるRTX1210と変わらない。

 LAN間接続VPNに加えてリモートアクセスVPNにも対応しており、複数の拠点間通信をしつつ、テレワークによるリモートアクセスなどという使い方も可能だ。VAN対地数(トンネル数)は合計100までで、中小規模のネットワークでのVPN利用では十分な数だろう。

YNOで遠隔からのネットワーク管理も可能に

 運用面では、RTX1210にも搭載されていた『LANマップ』を継承している。LANマップは、LANの見える化を提供するWebアプリケーション。LAN内のネットワーク構成をグラフィカルに表示することで、管理者の運用負荷を軽減する。RTX1220にヤマハ製のスイッチや無線LANアクセスポイントを接続するだけで、端末まで含めたネットワーク構成や各機器の情報をLANマップ上で確認することができ、スイッチの各ポート個別設定や、RTX1220とスイッチ双方を含むVLAN設定も一括で行うことが可能だ。

 これに加えてRTX1220には、『Yamaha Network Organizer(YNO)』を1年間無償で利用できるライセンスが付属する。YNOは、ヤマハのネットワーク機器の監視・管理を、クラウドベースで実現するネットワーク統合管理サービス。インターネットに接続された多拠点の監視・管理が可能な統合管理環境を構築可能だ。

 YNOにより、ファームウェアの更新やネットワーク機器の設定変更をクラウド上から容易に行うことができる。また、無線LANアクセスポイント『WLX413』『WLX212』もYNOに対応しているため、ルーターだけでなく無線LANアクセスポイントも遠隔から一括管理できる。

 YNOはゼロコンフィグ機能にも対応している。ネットワーク機器をインターネットに接続するだけで設定が完了する機能で、あらかじめ接続設定を入れ込んだUSBメモリで起動してプレースIDを設定するだけで自動的に設定が可能だ。これによりネットワークの知識が少ない担当者でも容易に交換作業ができるし、多拠点の機器を一度に設置、交換するような際にはキッティング作業の工数を軽減できる。

 さらにYNOの管理画面からルーターのLANマップにもアクセスできるため、遠隔から各拠点のネットワーク機器を可視化して、設定や異常検知、トラブルシューティングなどを行うことも可能となる。

 追加でYNOライセンスを購入すると2年目以降も継続して利用できる。YNOで管理するルーター1台につき1ライセンスが必要だ。