クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

仮想化環境に最適化されたオールフラッシュストレージのエントリー版「Tintri T1000」

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2018年冬号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2017年12月21日
定価:本体2000円+税

写真1:Tintri T1000(出展:ティントリジャパン)

 ティントリジャパンの「Tintri T1000」は、仮想化環境に最適化されたオールフラッシュストレージのエントリーモデルだ。ティントリは設立当初から“VM-aware(VMを理解する)ストレージ”を掲げて、仮想化環境に特化した製品を開発・提供している。新モデルは参考価格545万2500円(税別)で、販売代理店経由で販売される。

 同社のメインターゲットはエンタープライズ(大企業向け)市場である。Tintri T1000は、既存モデル「Tintri EC6000」ではカバーしにくい小規模な仮想化環境に最適化されたエントリー向けモデルとして提供される。新モデルの投入により、Tintriオールフラッシュストレージは仮想化マシン(VM)100台以下の環境から、最大48万台のエンタープライズ環境までをカバーする。

 Tintri T1000は、論理実効容量で10TBのフラッシュストレージを搭載し、最大で100台のVMをサポートする。エントリーモデルではあるが、EC6000と同じハードウェアプラットフォーム、OS、管理ソフトウェアを採用。主要なハードウェアコンポーネントは2重化され、コントローラもアクティブ/スタンバイ構成によって可用性を確保している。

 大きな特徴の1つが「自動QoS(Quality of Service)機能」だ。Tintri T1000に搭載されたTintri OSが、VMのパフォーマンスに合わせてリアルタイムで適切なストレージリソースを割り当てる。これにより、特定のVMに過大なI/Oが発生しても、他のVMの性能に影響を及ぼさない。

 ストレージ管理・制御を司るTintri OSは高度なVM単位のスナップショットとクローン機能を備えており、高速で効率的なストレージレベルのデータ保護を実現する。両機能はVM単位で実行され、インライン重複排除やデータ圧縮を組み合わせることで容量効率を高める。

 レプリケーション機能も標準で装備されている。ダッシュボード上でボックスをチェックするだけでレプリケーションが有効となり、コピーからの復元もクリック数回で操作が完了する。また、保存データの遠隔地複製を標準でサポート。例えば、データセンターにEC6000を導入して、複数の拠点に設置したTintri T1000のデータを集中的にEC6000にレプリケーションするといった運用が可能だ。その際、転送するデータを重複排除と圧縮することで、WAN帯域を95%効率化できるという。このほか、「Tintriクラウドコネクター」を使用することで、Amazon Web Services(AWS)のS3などのパブリッククラウドへのデータバックアップも可能だ。

図1:データセンターから複数拠点に設置されたTintri T1000 のデータをレプリケーションすることも可能(出典:ティントリジャパン)

 運用管理には、実用的なダッシュボードを備えた管理ソフトウェアを提供している。独自の「パフォーマンスゲージ」により、Tintriアプライアンス上の利用可能なストレージ容量とパフォーマンスの状況を迅速に可視化する。ダッシュボードでは、過去7日間でパフォーマンスや必要容量が大きく変更したVMを即座に見極められ、問題が発生する予兆の検知が可能になる。

 新モデルのユースケースとして、小規模なサーバー仮想化環境やVDI(デスクトップ仮想化環境)が想定されている。すべてのコンポーネントが事前構成済みのアプライアンスで提供され、従来型のストレージのような複雑な設定を行うことなく、数分でセットアップと設定が完了するという。導入にあたっては、事前に実環境で検証やテストを行い、検証テスト後は実運用として利用することも可能だ。