クラウド&データセンター完全ガイド:JDCC通信

JDCC通信 第18回 データセンター運用の効率化技法

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2018年冬号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2017年12月21日
定価:本体2000円+税

日本データセンター協会 Japan Data Center Council(JDCC)
http://www.jdcc.or.jp/

データセンターの国際規格や各種の指標作りは進んでいる。一方、サーバ室内の設備・装置の配置や見える化、運営のベストプラクティスをまとめた文書は見当たらない。そこで、日本データセンター協会と東大グリーンICTプロジェクトでは「サーバ室技術ガイドブック」の策定を進めており、その概要について紹介する。

 地球温暖化抑制のため、データセンターにも温室効果ガス排出削減(省エネ化)が要請されている。そうした要請に対応するため、日本データセンター協会(JDCC)では多数のWGを設置して対策を進めてきた。

 同じ頃、東京大学では東大サスティナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)が開始され、その最優先課題として同学の一般施設を対象に省エネ化を進め、成果を収めていた。そして、さらなる成果を目指して学内IT施設の対策を進めていた。

 そうしたなか、JDCCとITに特化した東大グリーンICTプロジェクト(GUTP)は共同してサーバ室技術ガイドブックWGを設置。サーバ室を中心とした計画、設計、構築、ラック・IT機器の設置、運用のガイドラインとベストプラクティスをまとめたガイドブック発行に向けて策定を進めている。

共同WGでさまざまな面を検討

 データセンターは、各社のノウハウと方針に基づいて設計、運用されてきた。そのため、すべての面において効率的と言い切れるケースは少ない。例えば、ITとファシリティを別チームで運用した結果、省エネとはいえない状況が生じているなどだ。

 そこで、本WGにはJDCCとGUTPから、データセンター事業者に加えてITや建築、電気、空調などの機器メーカーと施工の各社が参加。TSCPが発表していたガイドライン※1をベースに、より汎用性の高いガイドブックを2018年春に発行できるよう、策定を進めている(表1)。

※1:サーバ施設高効率化に向けたガイドライン(東京大学TSCP、2016年12月12日)
http://www.tscp.u-tokyo.ac.jp/documents/TSCPguideline_about_server_v1212.pdf

表1:サーバ室技術ガイドブックの目次案(出典:JDCC)

狙いと対象者・カバー範囲

 本ガイドブックの狙いは、データセンターの関係者間において省エネ・効率化について円滑なコミュニケーションを促進することである(ユーザー企業が保有する専用データセンターの運営者も含まれる)。そのため、運営と事業の責任者には判断材料を、実務担当者と利用者にはガイドラインとベストプラクティスを提供する。

 内容としては、省エネ・効率化で大きなウェイトを占めるサーバ室を中心に、計画、設計、構築、設置、運用までカバー。建物、空調、電気、機械などの設備面はもちろん、ラックやIT機器などの要件や設置、運用においてまで指針を提供する。

 本ガイドブックでは、現在実用化されているまたは今後1年程度で普及が見込まれる技術や運用方法などをメインに紹介する一方、最新動向や理解することが望ましいものなどもコラムで積極的に紹介していく方針だ。

 本ガイドブックをより効果的で、利用しやすいものに改善していくため、今後も運営者、事業者、利用者などの動向を反映していく。皆様からのフィードバックをお願いしたい。

日本データセンター協会(JDCC)は、データセンター事業者と主要な関連事業者が参加する組織を形成し、水平的垂直的に協力して国際競争力を備えたものへと進化させることに取り組んでいて、IT立国の基盤を支えるデータセンターのあるべき姿を追求することを目的としている。