クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画

日本マイクロソフト - 自社データセンターでAzureサービスを実現できるMicrosoft Azure Stackの4つのメリット

Microsoft Azure Stack
日本マイクロソフト
https://www.microsoft.com/ja-jp/

パブリック/プライベートクラウドの両方のメリットを享受できるハイブリッドクラウドを求める企業が増えている。その声に応えてマイクロソフトは、ハイブリッドクラウド基盤「Microsoft Azure Stack」の提供を始める。一般企業、そしてデータセンター事業者に大きなメリットをもたらすAzure Stackの実力について、4つのポイントから明らかにしていこう。

パブリッククラウドのサービスを自社データセンターで提供

日本マイクロソフト株式会社 マーケティング&オペレーションズ クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長 佐藤 久氏(写真:赤司 聡)

 近年、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用する、「ハイブリッドクラウド」を作る企業が増えている。ハイブリッドクラウドでは、プライベートとパブリックの違いをユーザーに強く意識させないことが大切だ。サーバーやストレージなどのコンピュータリソースを、場所に応じて設定を変えたり個別の運用管理を行ったりすることや、ましてやユーザーに対してIDの切り替えなどの特別な操作を強いることは得策ではない。

 このような要望に対して「パブリッククラウドとプライベートクラウドを1つの大きなリソースプールとして扱い、リソースを適材適所で提供する『Intelligent Cloud Platform』がマイクロソフトの戦略」と語るのは、日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏だ。

 この戦略の鍵のひとつが、2016年度中に登場予定の「Microsoft Azure Stack」。マイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」が提供している多様なサービスを、自社データセンターでも提供できるようにするハイブリッドクラウド基盤だ(図)。

図 Microsoft Azure Stackは、Microsoft Azureの選択されたサービス環境を自社のデータセンターに作る

 Azure Stackの特徴としては「同一であること」「スピード」「柔軟性」「管理しやすさ」の4点が挙げられる。それぞれの特徴について説明しよう。

柔軟な構成のクラウドを自由かつ容易に扱える

 「同一であること」は、プライベートクラウドとパブリッククラウドを同じように扱えることを意味する。Azure StackはAzureと共通のユーザーインターフェースやAPIを提供する。自社開発したアプリケーションを展開するときも、プライベートとパブリックで共通するAPIを利用できる。管理ツールもAzureと同じようにPowerShellやポータルが使える。開発ツールとしてVisual Studioを使えるところも共通している。

 佐藤氏はさらに、「Azure StackではAzureと同じように、WindowsだけでなくLinuxも使える。開発言語やフレームワークも.NET Framework、Java、Node.js、PHPと幅広く対応している。開発者が使い慣れたものを利用できるところもAzureと共通している」と付け加える。

 「スピード」は、ユーザーにコンピュータリソースやサービスを素早く提供できることを意味している。Azure StackならAzureと同じように、管理ツールであるポータルの画面でメニューを選ぶだけで、即座にコンピュータリソースをユーザーに提供できる。

 マイクロソフトはこのスピードをさらに上げるために、ハードウェアベンダーとの協業を進めている。未定であるとしたものの、佐藤氏は「検証済みのハードウェアとAzure Stackの組み合わせを提供し、運用開始までの期間を大幅に短縮できるようにしたい」と語る。

 「柔軟性」は、柔軟なリソース割り当てと、パブリックとプライベートの柔軟な使い分けを指す。企業や団体におけるポリシーやシステム上の要件によって、パブリッククラウド上に展開できないものもある。パブリッククラウドに置けないデータを管理するシステムは自社内に作ることになるが、Azure Stackを利用すればそのシステムに柔軟性を持たせることができる。Azureと同じように柔軟にコンピュータリソースを割り当てることができるので、例えばデータ量が大きくなったらプールされたストレージを追加するといった柔軟な運用が可能だということだ。

 さらに佐藤氏は「Azureと組み合わせたハイブリッド構成にすれば、個人情報などを扱うシステムの開発にAzureを利用できる」と説明する。例えば、Azureはクレジットカード業界のセキュリティ基準である「PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standards)」の認証を受けている。つまり、クレジットカード情報を扱うシステムをAzure上に構築し、テストできるのだ。実際の運用は社内にしなければならないとしても、実装されたサービスにおいてAzure StackはAzureと同等の環境を提供するので、Azure上で開発、テストしたシステムをそのまま展開してすぐに動かすことができる。

 開発用の環境をすぐには用意できないという場合でも、Azureを活用すれば最小限のコストですぐに開発を始めることができる。Azure Stackなら、Azureと同じ環境を作れるので、Azureで開発、テストしたシステムをそのまま移して、素早く運用を始められるというわけだ。

 「管理しやすさ」は、ハイブリッドクラウド環境をシンプルに管理するツールを提供しているという意味だ。ハイブリッドクラウドではAzureのほかにVMwareなどの仮想環境、OpenStackを利用したプライベートクラウドなど、さまざまな環境が混在してしまうことがある。こうなると管理が難しくなる。

 マイクロソフトは、ハイブリッドクラウドを管理するツール「Microsoft Operations Management Suite(OMS)」を提供している。「OMSは、AzureやAzure Stackだけでなく、様々な仮想化技術、クラウド基盤、パブリッククラウドに対応しており、ログ分析や運用の自動化などの作業をOMSで統合して実行できる」と佐藤氏はOMSのメリットを強調する。

一般企業だけではなくデータセンター事業者にもメリット

 Azure Stackはデータセンター事業者にも大きなメリットをもたらす。データセンター事業者がAzure Stackを導入すれば、Azureが有するサービスを自社のサービスとして提供できるのだ。また、Azure StackとAzureのハイブリッド構成を利用すれば、自社の設備で提供できるサービスに投資を集中させ、自社で直接提供する必要がないサービスはAzureに任せることができる。

 佐藤氏は「AzureではIaaSにとどまらないIoTプラットフォームといった上位レイヤーのサービスを数多く提供している。このようなサービスは事業者が提供しようとしても簡単ではない。AzureとAzure Stackを利用すれば、このようなAzureのサービスを事業者が自社サービスのメニューに加えることができる。また、サーバーリソースやストレージリソースの提供など、あまり収益を見込めないサービスをAzureにオフロードすることで、自社データセンターの収益率を引き上げることも可能だ」とメリットの大きさを強調する。

 Azure Stackがもたらすメリットを知って、興味がわいてきたという人もいるだろう。正式リリースはまだだが、マイクロソフトはAzure Stackのテクニカルプレビューを提供している。検証用サーバーを用意すればAzure Stackを試すことができる。

 テクニカルプレビューが動作する環境を提供している業者もある。ビットアイル・エクイニクスは、Azure Stackのテクニカルプレビューをすぐに試せる環境を提供する「Azure Stack検証環境構築代行サービス」を始めている。このサービスを利用すれば、サーバーなどを用意することなくAzure Stackを試せる。

 最後に佐藤氏は、「テクニカルプレビューなどでAzure Stackのメリットをぜひ体感して頂きたい。一般企業とデータセンター事業者に新しい価値をもたらすAzure Stackにご期待を」と訴えた。

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