クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画
Yahoo! JAPANのインフラ運用課題を解決したロック対応インテリジェントPDU
2014年9月30日 00:00
Yahoo! JAPANのインフラ運用課題を解決した
ロック対応インテリジェントPDU
日本を代表するポータルサイトと言えば、誰しもYahoo! JAPANを思い浮かべるだろう。日々の膨大なアクセスを受け入れる同サイトのインフラ運用においては、極限まで効率を高めるため、さまざまな施策が展開されている。電力管理も重要な要素であり、そのために同サイトでは、以前からインテリジェントPDUを活用していた。だが、運用するなかで解決すべき課題がでてきたことから、他ベンダーを含む採用検討を開始。その結果、ラリタン製品の採用を決定。2014年5月に導入を開始した。その経緯やラリタン製品のアドバンテージについて、ヤフー株式会社 システム統括本部 サイトオペレーション本部 インフラ技術2部 DC運用技術 リーダー 滝沢修氏、同社 システム統括本部 サイトオペレーション本部 インフラ技術2部 DC運用技術 秋山潤氏に聞いた。
ヤフー株式会社
http://www.yahoo.co.jp/
サービス部門にとっての課題解決エンジン」に
1996年の創業以来、多彩かつ膨大なサービスを展開してきたYahoo! JAPAN。今や“老舗”の風格さえ漂うが、その立ち位置に甘んじることなく、新たなチャレンジを続けている。
それを象徴するのが2012年の社長交代だ。増収増益を続けるなかで運営会社のヤフーは、代表取締役社長 兼 CEOに当時44歳の宮坂学氏を抜擢し、執行体制の刷新で攻勢を強めた。
この新体制のもとでヤフーが打ち出したのが、「課題解決エンジン」というビジョンである。日常的な小さな悩みから社会的な大きな問題まで、ユーザーが抱えるあらゆる課題の解決を支援していくという意思を表明したのだ。
そうしたYahoo! JAPANの月間平均PV数は558億※にも上る。これだけのアクセスを支えるインフラの運用を担うのが、滝沢氏、秋山氏らの運用チームだ。滝沢氏は、「課題解決エンジン」というビジョンを踏まえ、次のように語る。
「お客様の課題を解決しようと、サービス部門がアイデアを捻出します。そのアイデアを具体化するインフラを安定供給してサービス部門の課題を解決することが、われわれの使命です」
秋山氏も、「サービス部門に『できない』とは答えません。難しい要望でも『どうやればできるか』を考えます」と語る。
※2013年10月~2014年3月の月平均。引用元「Yahoo! JAPAN 媒体資料」
インテリジェントPDUの活用で運用を効率化
このような両氏らの目にかなったのが、ラリタンのインテリジェントPDU「PX2-1000」シリーズである。
実はヤフーは、以前から他社製のインテリジェントPDUを使用していた。Yahoo! JAPANのような大規模サイトではサーバ追加は日常茶飯事だが、速やかにサーバリソースを確保するには、ラックの空き状況などはもちろん、電力消費量を把握しておかなければならない。「インテリジェントPDUの導入前は、その都度、データセンターに電力消費量を問い合わせており、大きな手間になっていました」と滝沢氏は語る。使い始めたのは2011年。IDCフロンティアの北九州データセンターに導入するとともに、秋山氏が自ら開発したモニタリングツールを採用し、電力消費量を常時把握するための運用体制を築いた。
ラリタン製品だけが満たせたヤフーの要件
だが、運用を続けるなかで、データセンター内での作業時にインテリジェントPDUから電源ケーブルが抜けるという事態が発生した。「サーバの排熱や振動で電源ケーブルが抜けやすくなったところに、作業担当者の体が触れて抜けてしまうケースが数回ありました」と秋山氏。サーバは冗長化されていたため、Yahoo! JAPANのサービスに影響はなかったが、サービス部門にインフラを安定供給するという使命を持つ運用チームにとっては、何としても避けなければならない事態だった。
PCのような100V電源であれば、解決は簡単だ。プラグを捻ることでロックするツイストロック機構が一般的だからだ。しかし、200V電源では同様のロック機構は普及していない。それでも、「作業担当者の体がケーブルに触れるのは防ぎようがないため、対策が必須でした」と滝沢氏は振り返る。
そこで同氏は、新規システム増設の際に、物理的にケーブルの抜け止め対策を施されたインテリジェントPDUが不可欠であるとの考えに至った。ラリタン以外にもロック対応インテリジェントPDUはあったが、「専用の電源ケーブルが必要なものばかりでした。汎用ケーブルが使えないため、選定から除外せざるをえなかったのです」と秋山氏は言う。ヤフーの経験では、サーバ付属の電源ケーブルは長すぎるため、取り回しが悪いうえに、排熱を妨げる要因になる。そこで、付属ケーブルは使わずに、より短い汎用電源ケーブルを調達し、ラック内のワイヤリングを最適化している。そうしたなかで、専用ケーブルが必要なインテリジェントPDUを導入すると、「これまでの運用フローを崩してしまいます」と滝沢氏。
ヤフーは、ベンダー各社に提案を求めたが、ロック対応コンセントをカスタマイズ提供するというラリタンの提案を受け入れ、採用検討を進めることになった。
迅速なカスタマイズ対応についても高評価
ラリタンでは、ユーザー企業の運用形態に最適な形でインテリジェントPDUをカスタマイズ提供している。ヤフーからの要望にも、ロック対応コンセントを含め、いくつかのカスタマイズが含まれていたが、その際の対応について秋山氏は、「きわめてスピーディに動いてもらえました」と、カスタマイズの迅速さを高く評価する。
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今回、ヤフーは、グループ企業のIDCフロンティアが運営する白河データセンターにおいて、システム拡張に合わせるタイミングで、ラリタンのインテリジェントPDUを導入した。
今後、滝沢氏、秋山氏らが運用のさらなる高効率化を目指すなかでも、ラリタン製品がいっそう活躍するはずだ。実際に白河データセンターにおいても、ラリタン製インテリジェントPDUの追加導入を計画している。