クラウド&データセンター完全ガイド:データセンターサービスガイド

サイバー攻撃を防ぐ「DDoS対策サービス」がS-Portに登場 「共生」の精神で企業をトータルサポートする鈴与シンワート

S-Portソリューション
鈴与シンワート
https://s-port.shinwart.com

クラウドサービスやデータセンターの利用において、いまや必須要件になっているセキュリティ対策とデータ保護。これらはユーザーの責任範囲になることが多く、サービス提供者側からのサポートが難しいという側面がある。そんな中、鈴与シンワートは、新しいセキュリティサービス「S-Port DDoS対策サービス」、システム冗長化やDRサイト運用を実現する「大阪リージョン」を投入し、ユーザー企業のビジネスをトータルで支援する。

いまや必須ともいえるセキュリティ対策とデータ保護

 クラウドサービスやデータセンターの利用において、いまや必須要件となっているのが“セキュリティ対策”と“データ保護”だ。サイバー攻撃の高度化・巧妙化にともなって、オンプレミスに設置したセキュリティ機器をシステム担当者が自前で管理することは限界に近づきつつある。

 また、顧客や取引先にサービスを提供する際には、サービスの継続性と重要データの確実な保護がより強く求められるようになっている。サイバー攻撃による情報漏えいやデータ破壊を防止することはもちろん、自然災害などでデータセンターが被災し、事業継続ができない事態を起こすわけにはいかない。

 そうした中、鈴与シンワートが2020年10月から新たに提供を開始したのが、データセンター向けのセキュリティ対策サービスと、新たなデータセンターを拠点とした大阪リージョンだ。いずれも、同社の提供するデータセンターを主軸としたトータルソリューション「S-Port」の新しいラインアップとして提供される。2つのトピックを中心に、同社の新たな取り組みを見ていこう。

第一弾として提供開始した「S-Port DDoS対策サービス」

 ソリューションカンパニー データセンター事業部 スペシャリストの徳田泰晴氏は、新しいセキュリティサービスについて、こう話す。

 「サイバー攻撃の脅威が高まる中、ユーザー側だけでセキュリティ対策を実施していくことが難しくなっています。特に、DDoS攻撃(Distributed Denial of Service Attack)など、近年、企業の大きな脅威になっている攻撃については、クラウドサービスやデータセンター事業者側で担保することが重要になってきました。そこでセキュリティ対策サービスの第一弾として、2020年10月から、『S-Port DDoS対策サービス』を提供することにしました」(徳田氏)

鈴与シンワート株式会社 ソリューションカンパニー データセンター事業部 スペシャリスト 徳田泰晴氏

 DDoS攻撃は、分散型サービス停止攻撃と呼ばれるサイバー攻撃の一種。DDoS攻撃と言うと愉快犯によるイタズラ的な攻撃を想像しがちだが、近年は、ビジネス上の競合を妨害したり、DDoS攻撃を囮にして高度なサイバー攻撃を仕掛けたりと、明確な意図を持った攻撃が増えている。

 S-Port DDoS対策サービスは、受信する通信全てにDDoS防御システムを経由させ、不正な通信を検知する。さらに不正な通信を検知したら自動でその通信を遮断し、不正アクセスがシステムへ到達できないようにする。これにより、ユーザーが利用するシステムの安心・安全を維持する仕組みだ(図1)。

図1 S-Port DDoS対策サービス 提供イメージ

 サービスの特徴について、ソリューションカンパニー データセンター事業部の三村泰之氏はこう説明する。

 「DDoS対策サービスの利用者は大手企業が多く、導入コストが高くなりがちでしたが、S-Port DDoS対策サービスは、月額3万円(税別)からと低価格で、申し込み後、最短5営業日で利用できます。弊社が管理するネットワーク中継機器で通信経路を変更するため、お客様側での機器設定も不要です。さらに、各国に割り振られるグローバルIPアドレス情報を元にアクセス制御を行う国別IPアドレスアクセス制限機能サービスを標準装備し、ホワイトリスト方式で許可した国からの通信のみ許可します」(三村氏)

 対象となるサービスは「S-PortCloud Vシリーズ」「ベアメタルサーバ」「インターネット接続サービス」の3つだ。なお、今後は、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の提供など、セキュリティサービスのメニュー拡充を図っていく計画もある。

鈴与シンワート株式会社 ソリューションカンパニー データセンター事業部 三村泰之氏

クラウドサービス向け「S-Port大阪リージョン」開設

 同じく2020年10月には「S-Port大阪リージョン」も開設した。大阪リージョンで提供するサービスは、S-PortCloud Vシリーズ(IaaS)、ベアメタルサーバ、S-Port X コネクト、インターネット接続サービスなど。これらを組み合わせて、ハイブリッドクラウドの構築や、メガパブリッククラウドへのダイレクト接続、遠隔地バックアップ、SD-WAN構成などを展開することができる。

 ソリューションカンパニー データセンター事業部 スペシャリストの田中紀章氏は開設の背景をこう解説する。

 「これまではクラウドサービスが東京リージョンでしか提供されておらず、リージョンをまたいでシステムを冗長化したり、DRサイトとして運営したりといったことができませんでした。お客様からもクラウドサービスを東阪の両方で使いたいという要望が数多く寄せられており、それに応えた形です」(田中氏)

鈴与シンワート株式会社 ソリューションカンパニー データセンター事業部 スペシャリスト 田中紀章氏

 大阪リージョンの特徴は、まず、クラウドサービスを活用したデータ保護の強化にある。仮想サーバ単位でマネージドサービスとして提供されるパブリッククラウドや、顧客がリソースを占有して自由に仮想サーバを作成できるプライベートクラウドなどを活用し、東京リージョンと大阪リージョンを接続することで、リージョン間のDRを行ったり、広域負荷分散(GSLB)を行ったりできる。

 もう1つの特徴は、S-Portをハブとして、AWSやAzure、GCP、Oracle Cloudをはじめとするメガパブリッククラウドへのダイレクト接続を実現していることだ。キャリア閉域網アクセス、VPNアクセス、リモートアクセス、SD-WANなどの通信サービスもあわせて提供されるため、要件にあわせて安全・安心で柔軟な通信のもとで多様なクラウドリソースを活用できるようになる。

図2 東京リージョンと大阪リージョンの連携でクラウドサービスの幅が広がる

「共生(ともいき)」の精神のもと電力を100%再生エネルギー由来に

 また、日本自然エネルギー社と契約を締結した“グリーン電力への取り組み”も大きなトピックだ。

 「東京第一センターと鈴与シンワート本社の照明に使用する年間使用電力、約40万kWhを100%グリーン電力化することを目指しています」(田中氏)

 田中氏によると、このような環境に配慮した取り組みは、鈴与グループの企業理念である「共生(ともいき)」に通じるものだ。共生には「会社がひとつの企業として自立し、また、社員一人ひとりも個々の社会人として、真に自立し、社会活動を営む中で、我々と地域社会、お客様、お取引先様、そして社員相互間を結びつける精神的な基盤となる」という意味が込められている。

 鈴与シンワートは、セキュリティからデータ保護、再生可能エネルギーの活用まで、新しい時代に向けたサービス拡充に今後も取り組んでいく構えだ。

お問い合わせ先

鈴与シンワート株式会社

電話番号:050-5830-4471(平日9:00~18:00)

https://s-port.shinwart.com/

e-mail: dc-sales@shinwart.co.jp