2019年7月8日 06:00
弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2019年夏号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2019年7月1日
定価:本体2000円+税
S-Port X コネクト for AWS
鈴与シンワート
https://s-port.shinwart.com
DX活用を促進する基盤への進化が求められるデータセンター
昨今のデータセンター市場の動向を見ると、クラウド事業者やWebサービス/パッケージ事業者が主たる利用者となりつつある。また、企業もDXの活用推進に向け、自らがサービスの提供主体として、顧客やパートナー企業と柔軟な接続が可能なクラウド基盤の構築に取り組んでいる。データセンターにはそのための基盤となることが求められている。そうした動向を見据え、多くのデータセンター事業者はサービスの見直しを図っているが、企業のDX活用を促進するための多種多様なネットワーク接続、およびサービスが十分に提供されていないのが現状だ。ソリューションカンパニー データセンター事業部長の岩﨑洋氏は、「データセンターがもたらす価値の1つは、データが生成、利用される様々な場所と高速で接続できることにあります。つまり、クラウドサービスやデータセンター、オンプレミスをシームレスに接続可能とする環境の実現です」と訴える。
より柔軟なネットワーク接続を提供「S-Port X コネクト」
そうした要望をとらえ、鈴与シンワートは、データセンターサービスの「S-Portデータセンターサービス」や、クラウドサービス群「S-Port Cloudサービス」を進化させ続けてきた。そして、より柔軟なクラウド活用を支援するネットワークサービス「S-Port X コネクト」についても機能強化が図られている。
S-Port X コネクトは鈴与シンワートのクラウドサービスやハウジング、ベアメタルサーバ等のサービス間接続だけでなく、インターネットや通信事業者網、さらにはオンプレミス環境や、他社データセンター、AWSなどの他社クラウドサービスとの柔軟な接続を実現するもの(図1)。
システムインテグレーションカンパニー サービステクノロジー事業部 部長の髙橋正和氏は、「昨今、オンプレミス、データセンター、クラウドサービスといった多種多様なIT基盤のシームレスな接続が求められており、そうした要望に応えられなければお客様に価値を提供できません。そうした背景から、S-Port X コネクトも強化を続けてきました」と説明する。
その一例が接続性の強化だ。国内7か所に設置されたS-Portデータセンター間とのマルチリージョン接続を可能としたほか、昨今の仮想基盤の普及を見据え、L3接続だけでなくL2延伸にも対応している。一方、ネットワークの高速化へのニーズに応えられるよう、ネットワークインタフェースも10Gbpsの超高速通信に対応している。
そして今回、S-Portの各サービスとAWSをシームレスに接続する「S-Port X コネクト for AWS」の本格提供も開始された。髙橋氏は、「AWSの利用や連携に際して、BGPルーターの設定をはじめ、ネットワーク機器の導入、さらにはサービス開始後の運用管理に苦労している企業は少なくありません。これらの煩雑な作業を鈴与シンワートが一手に請け負うことで、企業は自社のエンジニアを、より戦略的なIT活用に専念させることが可能となります」と強調する。
AWSを活用したアプリケーションの開発運用までトータルでサポート
鈴与シンワートの強みは、AWSとの柔軟な接続性を提供するだけでなく、AWS上で稼働するアプリケーションの開発、運用までもサポート可能なことだ。システムインテグレーションカンパニー サービステクノロジー事業部 シニアスペシャリストの守屋直輝氏は、「私たちのチームは、Webサービスやアプリケーションの開発、および、アジャイル開発のプロジェクトを担当していますが、近年、サービス開発企業からはオンプレミスのデータやアプリケーションとAWS上の各種サービスとがシームレスかつセキュアにやり取りできる基盤へのニーズが急増しています。S-Port X コネクト for AWSはそうしたアプリケーション側の要望にも応えるものです」と説明する。
S-Port X コネクト for AWSを活用することで、個人情報などの重要なデータはS-Portデータセンターサービス上で管理し、Webアプリケーションやデータ分析基盤の構築運用はAWSの各種サービスを利用する、といった用途に応じたシステム基盤の使い分けが容易に行えるようになる。「重要な情報を保護できる基盤と、企業戦略の変化へ柔軟に対応可能なサービスの両方の環境を同時に利用できるのは、アプリケーション開発企業に大きなメリットとなります。そうしたインフラの提供、運用サポートだけでなく、サービス開発のための要件の導き出しから実際の開発、運用までも鈴与シンワートが一気通貫でサポートしているのは、他社にない大きな強みであると考えています」と守屋氏は強調する。実際に鈴与シンワートでは、AWSとS-Portデータセンターを連携させた「Web勤怠管理システム」を運営しており、自らがユーザーとなって構築ノウハウやメリットを広く示していきたい構えだ(図2)。
今後の展望についてネットワークの側面から髙橋氏は「お客様の多様化するニーズに応えるために、他社データセンターとの接続性も強化していくほか、ソフトウェア制御でネットワークを動的に管理・運用する『SD-WAN(Software Defined-WAN)』を活用したサービスも提供していきたいと考えています」と語る。また、アプリケーションの観点から守屋氏も「AWSに関するスキルやノウハウの向上を目指し、パートナープログラムのレベルアップ、そのための認定技術者の育成、増員を進めていきます」と意欲を見せる。
最後に岩﨑氏は「これからも鈴与シンワートは、お客様の課題に真摯に耳を傾け、その課題を解決していけるようサービスを進化させ続けていきます。また、企業のDXを支援するとともにデータセンター業界を盛り上げていくためにも、他のデータセンター事業者との協業を進め、共にビジネスを拡大させていきたいと考えています」と力強く訴えた。
鈴与シンワート株式会社
電話番号:03-5445-2651(平日9:00~18:00)
e-mail: ss-info@shinwart.co.jp