クラウド&データセンター完全ガイド:データセンターサービスガイド
さらなる低電力消費型データセンターを目指す「ミスト併用直接外気空冷システム」――NTTスマートコネクト
2014年3月31日 00:00
ミスト併用直接外気空冷システム
NTTスマートコネクト
西日本最大級のデータセンターで、ハウジングサービスやクラウドサービスを展開するNTTスマートコネクトが、「ミスト併用直接外気空冷システム」の実証実験に取り組んでいる。同社は、従来からデータセンターの省電力運営に注力してきたが、外気冷却とミスト散布を組み合わせたこのシステムにより、空調消費電力を従来比で約45%削減できると予測している。
寒冷地以外でも外気冷却利用で電力消費削減を可能にする先進技術
外気空調で電力消費の抑制を図るデータセンターが増加している。だが、寒冷地以外では利用できる期間が短く、通年での電力削減量はそれほど大きくないケースも散見される。現在、NTTスマートコネクトは、この問題を解決する「ミスト併用直接外気空冷システム」の実証実験に、NTTファシリティーズと共同で取り組んでいる。
同システムは、取り込んだ外気をミスト散布で冷却してから、サーバールームに供給するという仕組みだ。ミスト用ポンプにも電力は必要だが、サーバールームの空調機に比較すれば、その電力消費量は微々たるものだ。同システムは4パターンで運転され、夏場は「ミスト外気運転」、外気が適温のときには「単純外気運転」、外気が冷たすぎる時期は結露予防のために外気と暖かいIT機器の排気を混気して適正温度にする「混気運転」、特に高温や低温、多湿の時には外気を完全にシャットアウトする「空調機循環運転」を用いる。吸排気の装置には温湿度計を付け、無線でデータを管理することに加え、プログラムによる自動制御を行っている。
「以前から当社は、環境に優しい低消費電力のデータセンターを目指してきました。大阪もヒートアイランド現象を無視できない土地で、夏場の外気冷却は難しいのです。そこで、外気をサーバールームに送り込む前にミストで冷却しようと考えたのです」と、IDCビジネス部アシスタントマネージャーの野崎康弘氏は語る。電力はデータセンターの経費の大きな割合を占めるため、それを削減できればより安価にサービス提供が可能になる。ほかにも、ミストによって粉じんや水溶性の腐食性ガスも除去でき、サーバー機器類の保護につながるというメリットもある。
実証実験を行っているフロアでは、コールドアイル側のラック列間を天井パネルとビニール扉で密閉し、床下空調からの冷気とIT機器から発生する暖気を物理的に分離。ラック内への排熱の回り込みを防止し、冷却の効率化を図っている。
この外気冷房により、空調消費電力を通常の空冷システムに比べて37%削減でき、さらにミスト散布の併用で8%の削減が可能になる。空調消費電力の削減幅は、合わせて45%にもなる計算だ。「2014年秋の商用提供を目指しており、すでに興味を持っていただいているお客様もいらっしゃいます」と野崎氏。同社は現在、ミスト併用直接外気空冷システムの特許を共同出願中だ。
IX直結のパフォーマンス 新フロアのサービスも提供開始へ
NTTスマートコネクトのこうした先進的な取り組みは、既存ハウジングサービスの強化につながる。
同社ハウジングサービスの1つの特長は、そのロケーションである。データセンターがある堂島は東京では大手町にあたる関西屈指のネットワークのハブであり、新たな専用線敷設費用などをかけずにJPNAP大阪やNSPIXP-3などのIXに直結し、高速なスループットを実現することができる。交通の便もよく、地下鉄の駅からも徒歩圏内で高速の出入口も近い。
ラックはフル、ハーフラックに加え、1/4、1/8ラックも提供。小規模な利用にも対応している。運用保守は24時間365日受付で、ケーブルの抜き差しや電源OFF/ONといった一次対応も可能だ。「当社クラウドサービスのサーバーもハウジングと同フロアにあり、構内接続による安全なハイブリッド利用も可能です」と、IDCビジネス部アシスタントマネージャーの原幸之助氏は説明する。
同社は、5月にハウジング用の新フロアを開設する予定だ。「将来的にはミスト併用直接外気空冷システムの省電力メリットを生かし、西日本圏内で、新しいデータセンターとして展開していくことも検討しています」と、IDCビジネス部アシスタントマネージャーの北賀亮輔氏は語る。
お問い合わせ先
NTTスマートコネクト株式会社
IDCビジネス部
電話:0120-395290 <受付時間>(土・日・祝日は休み)
メール:info@mcnet.ad.jp