クラウド&データセンター完全ガイド:DCC2P

データセンター事業者の価値と重要性のさらなる向上を目的としたコミュニティ「DCC2P」、キックオフミーティングを開催

 インプレスのクラウド&データセンター完全ガイドは、データセンター事業者の価値と重要性のさらなる向上を目的としたコミュニティ「DC Co-Creation Place(DCC2P)」を設立し、7月16日に第1回の会合となるキックオフミーティングをオンラインで開催した。

 DCC2Pは、データセンターが新たな価値を創造する場所として変革することを支援するため、データセンタービジネスに関わるステークホルダーがコンペティターの垣根を越えて集まり、オープンな意見交換や情報交流を通じて、新たなサービス企画の立案や技術動向の把握に役立ててもらうことを目的としている。参加対象としては、データセンター事業者に加え、データセンターのユーザー企業、IT・ファシリティベンダー、通信事業者(IX含む)も視野に入れている。

DCC2Pの設立趣旨

 活動内容は参加者からの意見をもとに、各種の勉強会や交流会を開催。勉強会の内容としては、データセンターのIT関連を中心としたネットワーク/サーバー/ストレージ設計・構築・運用勉強会、ファシリティ関連を中心としたファシリティ設計・構築・運用勉強会、サービスの企画立案を中心としたサービス企画勉強会を想定し、2020年度は年2回の開催を予定している。

 キックオフミーティングには、データセンター事業者約70人がオンラインで参加。コミュニティ事務局のアドバイザーを務める田沢一郎氏が、コミュニティの設立趣旨や活動内容、今後の予定などを説明するとともに、参加者の事前アンケート結果を紹介した。

事務局のアドバイザーを務める田沢一郎氏

 DCC2Pへの参加目的としては、他社動向を知りたい、最新の技術動向が知りたい、他社とのサービス面・営業面での協業、ユーザー動向を知りたい、といった声が多く寄せられており、これらを中心に活動していくことが確認された。

DCC2Pへの参加目的

 IT運用についての関心のある内容としては、国内業界動向、運用自動化、災害対策(BCP含む)の3項目への関心が高かった。ファシリティ運用について関心のある内容についても、国内業界動向と運用自動化への関心が高かったが、開設して年数の経過したデータセンターも多いことから、老朽化対策について知りたいという声が多く寄せられた。サービス企画について関心のある内容としては、こちらも国内業界動向への関心が最も高く、次いで新サービス開発/強化、他社との協業/協働という結果となった。

IT運用で関心のある内容
ファシリティ運用で関心のある内容
サービス企画で関心のある内容

 次の議論に移る前のアイスブレイクに、国家戦略特区の「スーパーシティ」構想におけるデータ連携基盤について紹介。構想におけるスーパーシティとは、さまざまなデータを横断的に収集・整理して提供するデータ連携基盤を軸に、地域住民などにさまざまなサービスを提供し、住民福祉・利便向上を図ることを目的としている。

 田沢氏は、行政のデータや、電力や福祉関連など各種データの多くはデータセンターの中に集められており、こうしたデータの連携基盤の構築にはデータセンターも関係することになり、新たなビジネスチャンスが生まれるため注視してほしいと語った。

 続いて、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行などを受け、データセンター事業者はどのような状況にあるのかという質問を参加者に投げかけた。参加者からは、リアルな営業活動やイベントへの出展ができないといった営業面で支障が出ているといった話や、九州の大規模な水害により通信回線面での対応を迫られた、データセンターへの入館対応にサーモグラフィを揃えることが必要になったといった話が挙がった。一方、在宅勤務への対応が必要となった企業や組織が増えたため、テレワーク関連の問い合わせは増えたといった声も聞かれた。

 コミュニティの今後の活動についての意見交換では、開催する勉強会のテーマや希望する開催時期について、参加者の意見をアンケート形式で質問した。運用勉強会では運用の自動化、ファシリティ勉強会ではデータセンターの老朽化対策、サービス企画勉強会では他社との協業/協働をテーマとして希望する声が多く、それに沿ったテーマでの勉強会を開催していく方針が確認された。

 コミュニティでは参加者同士の情報交流会の開催を検討しており、当面はオンラインでの開催を予定しているが、内容についてはあらかじめテーマを設定した意見交換会、実施タイミングは勉強会の後を希望する声が多く挙がった。

 また、データセンターを利用するユーザーとの交流会についても開催を検討しており、想定するサービスについてはコロケーション、ヒアリングしたいユーザーについては大企業と中小企業を希望する意見が多く寄せられた。

 続いてはライトニングトークとして、新たなデータセンターの紹介が行われた。株式会社両備システムズは、9月にオープン予定の「Ryobi-IDC第3センター」を紹介。同データセンターは、災害の発生確率が低い岡山に立地している点や、AIを活用した空調システムなど最新技術を導入している点、JDCC(日本データセンター協会)のティア4にも対応するマルチティアへの対応も可能なフレシキブルなサーバールームとなっている点などをアピールした。

両備システムズが9月にオープン予定の「Ryobi-IDC第3センター」
AIを活用した空調システムなど設備に最新技術を導入

 キヤノンITソリューションズ株式会社は、西東京データセンターで今秋に竣工予定の新棟を紹介。新棟は、既存棟とほぼ同様の延床面積となるが、効率を追求したレイアウト設計と最新設備の採用により、ラック数は1.25倍、受電能力は1.7倍となるなど、面積あたりの能力を向上している。また、データセンター内にBCPオフィスを構えたいという要望が多いことから、BCPオフィスフロアも既存棟の2.3倍に拡大している点などを特徴として挙げた。

キヤノンITソリューションズの西東京データセンターで今秋に竣工予定の新棟
効率を追求したレイアウト設計と最新設備の採用により、面積あたりの能力を向上

 会合の最後には、参加者間の交流を図るため名刺交換会を実施した。希望する参加者の一覧を参加者間で共有するとともに、参加者を複数のルームに分ける形での交流会を実施。データセンター事業者同士で、事業の状況や運用の課題についてなど、活発な意見交換が行われた。

 DCC2Pの次回以降の会合については以下を予定している。なお第1回ファシリティ勉強会&情報交流会は現在参加者を募集している。ファシリティに課題をお持ちの方はぜひ参加を検討していただきたい。

 なお、本コミュニティ活動への参加資格について、データセンター事業者やデータセンターを利用するユーザー企業は無償で参加できるが、その他企業はコミュニティへの有償スポンサードが前提となっている。有償スポンサードについては、以下より問い合わせください。

  • 第1回IT勉強会&情報交流会 8月27日(木) ‐テーマ:運用の自動化
  • 第1回ファシリティ勉強会&情報交流会 9月10日(木) ‐テーマ:老朽化対策
  • 第1回サービス企画勉強会&情報交流会 10月8日(木) ‐テーマ:他社との協業、協働
  • 第1回ユーザー交流会 10月29日(木)

・有償スポンサード問い合わせ先
株式会社インプレス DCC2P事務局
メール:im-idc@impress.co.jp

今回、キックオフミーティングに参加された主なデータセンター事業者

株式会社IDCフロンティア
株式会社アット東京
株式会社石川コンピュータ・センター
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
AGS株式会社
SCSK株式会社
株式会社STNet
NTTコミュニケーションズ株式会社
株式会社NTTデータ
株式会社NTTPCコミュニケーションズ
NTTビズリンク株式会社
株式会社エネルギア・コミュニケーションズ
OEC株式会社
カゴヤ・ジャパン株式会社
京セラコミュニケーションシステム株式会社
さくらインターネット株式会社
セコムトラストシステムズ株式会社
株式会社セゾン情報システムズ
株式会社DNPデジタルソリューションズ
株式会社データドック
鉄道情報システム株式会社
西日本電信電話株式会社
日鉄ソリューションズ株式会社
日本システムウエア株式会社
日本電気株式会社
株式会社パワー・アンド・IT
ファーストライディングテクノロジー株式会社
北陸コンピュータ・サービス株式会社
北海道総合通信網株式会社
丸の内ダイレクトアクセス株式会社
株式会社ミエデンシステムソリューション
三菱総研DCS株式会社
宮銀コンピューターサービス株式会社
株式会社ミライコミュニケーションネットワーク
株式会社メイテツコム
ヤマトシステム開発株式会社
株式会社両備システムズ
株式会社両毛インターネットデータセンター