特別企画

仮想環境に特化して設計された新世代ストレージ「Tintri VMstoreシステム」【前編】

仮想化時代を支えるTintri独自のアーキテクチャについて

 近年では、多くのワークロードが仮想基盤の上で稼働するようになった。そして、こうした仮想化のトレンドに立ち向かうため、サーバー、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェアなど、さまざまな分野で仮想環境に最適化された製品が次々と登場している。Tintri VMstoreシステムは、そのような仮想環境に特化して開発された製品のひとつだ。

 今回、Tintri, Inc.の日本法人であるティントリジャパン合同会社(以下、ティントリ)の協力により、本社のエグゼクティブを交えたワンオンワンの取材をセッティングしていただいた。本稿は前編・後編の2回構成でお届けしていくが、前編では従来型のストレージシステムとは一線を画するTintri VMstoreシステムのアーキテクチャについて取り上げていく。

今回、ティントリジャパン合同会社(以下、ティントリ)の協力により、本社のエグゼクティブを交えたワンオンワンの取材をセッティングしていただいた。写真左より、ティントリ 職務執行者社長の河野通明氏、Tintri, Inc. Vice President, Technology and Strategic AlliancesのRex Walters氏、Tintri, Inc. VP, Engineering & Global SupportのPratik Wadher氏、ティントリ 技術本部長の村山雅彦氏である

仮想マシン単位での制御が困難なLUN/ボリュームベースのストレージ

 かつては、物理サーバーごとに専用のストレージシステムを接続していたが、SAN環境やEthernetベースのネットワークストレージが普及し、1台のストレージシステムに複数台の物理サーバーを同時に接続する形が一般的になった。ストレージシステム上では、LUN(論理ユニット番号)や論理ボリューム(以下、LUN/ボリュームと記載)に基づいてディスクスペースが切り分けられ、これらのディスクスペースを各物理サーバーに割り当てている。

 近年では、仮想化技術の登場により、多数の仮想サーバーが1台のストレージシステムを共有する形へと移り変わりつつある。いうまでもなく、仮想サーバーは物理サーバーをはるかに上回る台数に及び、LUN/ボリュームベースのストレージシステムでは、これらの仮想サーバーに対して個別のディスクスペースを割り当てるのが極めて困難である。そこで、多くの仮想基盤では、物理サーバーごとにLUN/ボリュームベースのディスクスペースを割り当て、その中に複数の仮想OSイメージを同居させる形がとられている。

 しかし、このような運用形態では、QoSやデータ保護ポリシーの制御もLUN/ボリューム単位でしか実行できない。このため、1台の仮想マシンが過負荷に陥ると、同一のLUN/ボリュームを共有している他の仮想マシンがそれに引きずられて性能を劣化させてしまう。

 このような問題に対処するには、同一のLUN/ボリュームにあまり多くの仮想マシンを集約させすぎないようにするか、IT管理者がストレージの運用状況を常に監視し、高負荷の仮想マシンが見つかったら、速やかに異なるLUN/ボリュームに切り替える必要がある。

 Tintri, Inc. Vice President, Technology & Strategic AlliancesのRex Walters氏は、こうした従来型のストレージシステムが抱える問題点を「ストレージの用途に基づいて搭載するドライブの種類(SATA/SASドライブ)や構成、高速なフラッシュストレージの有無、LUN/ボリュームの切り方、仮想マシンの集約方法などをきめ細かく設計してから導入しなければなりません。また、その後の運用フェーズにおいても、最適なパフォーマンスが得られるように常に手動で調整をかけていく必要があります。しかし、仮想マシンの台数が増えれば増えるほど、こうしたパフォーマンス調整が困難になっていきます」と説明する。

(伊勢 雅英)