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PwC Japan監査法人、J-SOX評価業務の生成AI活用による効率化診断サービスを提供

 PwC Japan有限責任監査法人(以下、PwC Japan監査法人)は7日、企業のJ-SOX関連業務について、生成AI活用による業務時間の削減効果を確認し、企業が実際に効率化を実現するための検討に役立つ効率化診断サービスの提供を開始すると発表した。

 PwC Japan監査法人では複数企業と連携し、J-SOX関連業務における生成AIおよびGRC(ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス)関連業務を統合管理するツール(以下、GRCツール)の活用に関する実証実験を実施した。

 その結果、特定の条件下でJ-SOXの全社的な内部統制(42の評価項目例)の一次評価を自動化できることを確認した。さらに、この自動化が可能になったメカニズムを当てはめれば、業務処理統制など他の内部統制についても、一次評価の自動化が可能であると考えられるという。これにより、企業の規模や子会社の数などの条件に応じて、数百から数千時間の業務時間の削減が期待されるとしている。

 開始する効率化診断サービスは、実証実験の結果に基づいて、各企業の状況を精査し、生成AI導入による業務時間削減効果を試算する。併せて、実現に向けての課題特定、ロードマップ策定、GRCツール導入も支援する。

テクノロジーを活用したJ-SOX評価業務のイメージ

 PwC Japan監査法人では、企業の活動が国際化・複雑化していく中で、内部統制の役割は広がり、重要性が高まっており、テクノロジーを最大限に活用した内部統制評価業務の効率化や高度化を図ることが喫緊の課題となっていると説明。これらの業務の一次評価を自動化し、その結果をGRCツールに連携させることで関係者がタイムリーに確認できるようになれば、大幅な業務効率化や重大な問題の未然防止が期待できるとしている。

 また、生成AIを活用した業務効率化を行うためには、全体像を明確にし、削減効果を試算した上で計画的に取り組むことが重要だとして、これにより手戻りを防ぐことができ、効果的な導入が可能となるとともに、並行して適切なガバナンスの構築も可能になるという。

 PwC Japan監査法人では、国内外の生成AIガバナンスに関する枠組みや法規制の動向を注視しており、生成AIの革新的かつ適切なビジネス活用を実現するために、活用とリスク管理のバランスを考慮したガバナンス構築支援を提供できるとしている。

 生成AIを活用したJ-SOX対応を適切に行うためには、生成AIの処理結果に一定の均質性や再現性を担保するための高水準な開発品質を保持する必要があると説明。監査の性質上、AIの処理結果に大きなばらつきは許容されず、一定の再現性が求められ、そのため、導入担当者が生成AI開発とJ-SOX評価業務の双方に精通していることが求められる。

 PwC Japan監査法人は、公認内部監査人、公認会計士、公認システム監査人、公認不正検査士、そしてデジタルやAIの専門家を含む多様な専門家の豊富な経験と知見を結集し、独自の内部監査業務に導入するAIを評価するベンチマークおよび開発ガイドラインを策定した。このベンチマークおよび開発ガイドラインを用いて、PwC Japan監査法人が各企業の状況を精査し、生成AI導入による業務時間削減効果を試算、併せて実現に向けての課題特定、ロードマップ策定、GRCツール導入も支援することにより、組織内に生成AIを活用した内部監査の仕組みやアウトプット品質に対する共通認識を醸成し、品質基準とリスク許容度を定義することを可能にする。

 内部統制やその評価業務のDXおよび生成AIの活用が進むことで、現場や担当者の負担が大幅に軽減され、問題点の解決やガバナンス向上に関する議論に注力できるとしている。