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“第3のプラットフォーム”を見据えるEMCジャパン、2014年の方針

代表取締役社長の山野修氏

 EMCジャパン株式会社は29日、2014年の事業方針を発表。代表取締役社長の山野修氏が、“第3のプラットフォーム”へと移りゆく市場に応じて、「REDEFINE(新定義)」をテーマとする方針を説明した。

 EMCはサーバービジネスを持たないにもかかわらず、サーバー・ストレージ市場でHPに次ぐ2位につけている。それはスマートデバイスが主なデバイスとなり、膨大なユーザーがクラウド上の数百万のアプリケーションにアクセスし、データ量も膨大となる“第3のプラットフォーム”時代の到来により、ストレージの重要性が増している証左ともいえる。

 そうしたIT環境の変化に加え、山野氏は「今の若い世代は、地理的に遠く離れた人ともSNSなどを通じて1分以内にコミュニケーションを取り、調べ物をするのも手元のデバイスから数十秒で行うのが当たり前。これは40~50の世代からすると大きな変化で、考え方をすべて変える必要がある」と指摘。まさにいま、ITを「REDEFINE(新定義)」するような変革が求められていると語る。

 この流れに沿って、EMCが進めているのが「Software-Defined Storage」戦略だ。日本でも2013年に同戦略が打ち出され、Software-Defined Storageプラットフォームとして、ストレージの管理機能などを仮想化する「ViPR」がリリースされた。

 子会社のVMwareも「Software-Defined Data Center」戦略を打ち出すなど、ソフトウェアが主役となる「Software-Defined」時代が訪れており、EMCやVMwareらによって出資された新会社Pivotalも“第3のプラットフォーム”関連のソリューションを提供することで、「Software-Defined Enterprise」の実現を目指している。

 EMCはRSA・VMware・Pivotalとともに“第2のプラットフォーム”と“第3のプラットフォーム”の橋渡し役になる考え。現在、「クラウド化(ハイブリッドクラウドの利用)」「ソーシャルやモバイルの普及(これまでとはけた違いのアクセスとデータ処理の発生)」「ビッグデータ分析(そのためのシステムや社内体制への要求)」が世界的な要求ととらえ、これらに対応する取り組みとして、EMC自身の変革も含めた「REDEFINE(新定義)」を図っていく。「その一環として、2014年にはポートフォリオの多くの部分がソフトウェアにシフトする」と山野氏。Software-Defined Storageに関連する多様な製品・ソリューションのリリースを予感させた。

“第2のプラットフォーム”と“第3のプラットフォーム”の橋渡し役に
テーマは「REDEFINE(新定義)」。IT環境の変化とそれに対応するためのEMC自身の変革の思いが込められている

 2013年、EMCジャパンはそれ以外にも、ミッションクリティカルストレージのクラウド版「VMAX CE」、オールフラッシュアレイ「XtremIO」を発表するなど技術的な取り組みを進めてきた。2014年も継続的に「ディスクからフラッシュ製品への拡大」および「モバイルによる柔軟な運用管理の実現」といったイノベーションに取り組む方針だ。

 また、パートナープログラムを「EMCビジネス・パートナー・プログラム」の名称に統一し、パートナー支援も強める。「EMCユーザーは今までほぼオンプレミスだったが、サービスプロバイダとともにハイブリッドクラウドを提案し、VSPEXやVblockなどのコンバージドインフラストラクチャの普及にも努める。そして、パートナーにとって当社が変革を支援してくれる企業と認知してもらえるよう取り組んでいく」(山野氏)という。

 なお、「REDEFINE(新定義)」がテーマであっても、注力ポイントが「クラウド」「ビッグデータ」「トラスト」の3領域であることは2014年も変わらないという。

EMCのREDEFINE(新定義)
2014年の日本での重点施策

川島 弘之