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EMCジャパン、スケールアウト型のオールフラッシュストレージ「XtremIO」~最大100万IOPSを提供可能

オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」

 EMCジャパン株式会社は21日、オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」の国内における提供開始を発表した。価格は3726万2500円(税別)からで、別途、導入サービスおよび保守サポート費用が必要になる。

 EMCジャパンでは、米EMCが昨年買収した米XtremIOのブランドを利用し、フラッシュストレージを「Xtremシリーズ」として3月から展開。第1弾では、サーバー機のPCI Expressスロットに接続するフラッシュカード「EMC XtremSF」や、キャッシュソフト「XtremSW Cache」を発表していた。

 今回発売されたXtremIOは、その第2弾となる製品で、HDDを利用せずフラッシュメモリ(SSD)のみで構成されたSAN(FC/iSCSI)ストレージ。「X-Brick」と呼ばれるビルディングブロックを最大4台まで拡張できるスケールアウト性が特徴で、10TB~40TBの物理容量と、最大100万IOPSの読み込み(リード)性能を提供する。

 最小構成単位となる「X-Brick」は、25の400GB SSD(eMLC)からなるストレージ部分と、16コアのCPU、256GBメモリを搭載したコントローラ×2から構成され、コントローラ同士は40GbpsのQDR InfiniBand RDMAを介して接続される。このX-Brickを最大4台まで増設してQDR InfiniBand RDMA接続でクラスタ化することにより、性能と容量がリニアに拡張される仕組みで、ここが競合製品に対するアドバンテージの1つになっているという。

 また、すべてのボリュームはシンプロビジョニングに対応し、4KBのアロケーション密度でデータブロックの場所を動的に計算する。クラスタ化されたX-Brick間では、すべてのSSDとコントローラに対し、一定かつ均等にデータブロックを分散するので、競合製品で性能を確保するために必要となるガベージコレクションも不要。高いIOPSを安定的に提供できるとした。

X-Brickの内部構造
X-Brickを最大4台まで接続したクラスタ構成に対応する

 さらに、リードに比べて書き込み(ライト)性能が低く、書き込み回数にも制限があるフラッシュメモリを有効活用するため、インラインでの重複排除技術を採用。メモリ内にメタデータを持ち、重複するデータはフラッシュへの書き込みを行わない仕組みにより、フラッシュメモリの寿命延長と性能の向上、利用可能な容量の拡張を実現した。なお、重複排除技術はDataDomainやAvamarとは異なる独自の実装になっているという。

 データ保護についても、SSDに最適化された新たな技術「XtremIO Data Protection(XDP)」を利用する。プロダクト・ソリューション統括部 ソリューション部 シニア・システムズ・エンジニアの笹沼伸行氏は、この技術を「従来のRAID1/5/6のいいとこ取りをしたこの技術により、容量のオーバーヘッドを8%に抑え、高価なSSDをホットスペアとして用意する必要もなくなった。RAID6と同様、2つのパリティを持つことで信頼性を確保し、リビルドも迅速に行える。また、X-Brick 1台あたり6台までのSSDが故障してもパフォーマンスに影響を与えない」と説明した。

インラインの重複解除機能を提供
XDPによるデータ保護を提供する

 設定もシンプルで、ボリューム作成、イニシエーターグループの作成、ボリュームのマッピングといった3ステップで容易にプロビジョニングでき、VMware VAAIにも対応している。ただし、現時点でのストレージ管理は独自方式になっており、EMCジャパンの統合管理製品である「Storage Resource Management(SRM)」との統合は2014年以降になるとのことだ。

 笹沼氏は、「仮想ストレージである『EMC VPLEX』との連携により、可用性をさらに強化できるし、VPLEXとデータ保護ソリューション『RecoverPoint』を併用すれば、遠隔地とのレプリケーションにも対応する。また2014年にはXtremIOを利用したVbockも提供され、VDI環境などでの利便性がさらに向上する」と、他製品との連携や将来のロードマップについて述べた。

3ステップでの容易な設定を実現
プロダクト・ソリューション統括部 ソリューション部 シニア・システムズ・エンジニアの笹沼伸行氏

 なお、マーケティング本部の上原宏本部長は、フラッシュストレージにおける他社との差別化ポイントとして「ポートフォリオ」を挙げる。「一口にフラッシュストレージといっても、使い方によって適材適所がある。EMCジャパンではXtremシリーズだけでなく、VMAX/VNX/Isilonといった製品へフラッシュメモリを搭載し、階層型ストレージとして利用するソリューションも提供しているため、あらゆる用途に対応できる。一方で、一部を除き競合ベンダーでは、あくまでもポイントソリューションしか提供できない」というのだ。

 またXtremIO単体を見た場合、ハードウェアはx86技術と一般的な企業向けSSDを利用しているだけで、ASICなどの特殊な部品は一切使っていない点が逆に強みになるとのこと。「特別な部品を使えば必ずコストに反映する。フラッシュメモリの価格が下がってきている中で、これは得策ではない」ことを指摘し、十分に競争できるとの見方を示している。

マーケティング本部の上原宏本部長
EMCジャパンが持つフラッシュストレージのポートフォリオ

石井 一志