ニュース

日本オラクル、最新ハードウェアを採用したデータベースマシン「Exadata X4」

データベース統合・クラウド基盤としての機能を強化

Exadata X4の特徴

 日本オラクル株式会社は21日、データベースマシン「Oracle Exadata Database Machine」(以下、Exadata)の第5世代「同 X4」を発表した。基本的なアーキテクチャは前世代の「同 X3」を踏襲しつつ、最新ハードウェアの採用やソフトウェア機能の改善により、各種性能・機能が向上している。価格は、ハードウェアの最小構成で2390万円(税別)から。

 Exadataは、ハードウェアとソフトウェアをあらかじめ日本オラクルが事前構成し、最適化を施して提供するデータベースマシン。最初に提供された「Exadata V1」はDWH(データウェアハウス)専用マシンだったが、次の「Exadata V2」からはOLTPにも対応するなど、適応の幅を広げており、現在では「すべてのデータベースを最適に実行できるプラットフォームになった」(米Oracle データベースサーバー技術担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏)という。

 今回のExadata X4では、まず、ストレージサーバーの容量が200TBになり、従来のExadata X3から100%向上(ハイパフォーマンスモデルの場合)したほか、CPUコア数が128から192へ、メモリが1024GBから2048GBへと向上するなど、ハードウェア性能が強化された。日本オラクル 執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、こうした点を「提供当初から、継続的にハードウェアの性能を向上させてきた。Exadataをハイエンドサーバー/ストレージと見た場合、半導体、部品の進化そのものをリアルタイムでお届けできる製品はほかにない」とアピールする。

 加えて、キャッシュとして利用するフラッシュメモリの最大容量を44TBまで搭載可能とし、Exadata X3と比べて2倍に拡張した。これを高速圧縮機能と組み合わせると、性能に影響を与えずに最大88TBの論理容量を利用できるが、キャッシュの容量が増えればヒット率が向上するため、大量データに対するパフォーマンスの向上が見込め、フラッシュメモリのIOPSが77%高速化されるとのこと。

Exadata X4のハードウェア
米Oracle データベースサーバー技術担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏
フラッシュキャッシュと圧縮を組み合わせ、性能向上を実現

 また、Exadataを1つの大きなデータベースで利用するのではなく、複数のデータベースを統合する基盤として利用したり、データベースのサービス化(Database as a Service:DBaaS)を行ったりするケースも珍しくなくなっている。今回、性能が強化されたことで、より多くのデータベースを統合可能になったが、データベース統合で利用する場合には、重要なワークロードの性能を落とさず、確実に実行するために、QoS機能が必要となる。

 Exadata X4ではこうした点を考慮し、CPUリソース、ネットワークリソースのいずれについてもパフォーマンス管理を行えるようにしているので、遅延が許されない重要なアプリケーションを優先し、安定した性能を提供できるとした。こうしたリソース管理の機能は、Oracle Database 12cから導入されたマルチテナントアーキテクチャにも対応。またネットワーク(InfiniBand)の帯域自体も、Exadata X4では80Gbpsと、従来の倍に拡張された。

 「何千ものOracle Databaseを実行し、DWHやBI、SAPやOracle EBSといったビジネスアプリケーションなど、いろいろなワークロードでインフラを共有するアプローチでは、パワフルなプラットフォームが必要になる。これを実現できるのがExadata。またそのためには、ソフトウェア最適化によってボトルネックを排除するのが重要だ。さらに、リソース管理機能により、遅延が許されないアプリケーションに優先付けを行うことで、安定した性能を提供できる。複数のデータベースを扱う中では、非常に重要な機能になる」(メンデルソン氏)。

Exadata X4のソフトウェア
ネットワークについてもリソース管理を行える

 一方、三澤氏は、ワールドワイドのみならず、国内でもExadataの活用が広がっていることを紹介。製品の発表と同時に、三井住友海上あいおい生命保険と、同社の保険システムの構築・運用を担当するMS&ADシステムズが、生命保険の基幹システムとしてExadata X4を採用することも明らかにした。

 また、Exadataをプラットフォームとして利用したいという国内のISVも増えているとのことで、SuperStream-NX、ProActive E2、COMPANYといったパッケージがExadataの認定を取得していることを取り上げ、国内での他ベンダーとの連携を進めていくとした。

 「Exadataでは、導入から運用に至るまでの各フェーズで、コンサルティング、教育、サポートのサービスを5年間かけて充実してきた。そのノウハウそのものがベストプラクティスとなってエコシステムが回っている」(三澤氏)。

日本オラクル 執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏

石井 一志