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Windows XPからの移行は順調、さらに加速するための支援を~マイクロソフト樋口社長

SMB向けの支援サービスを発表、コスト面の負担を軽減

 「いろんな指標を見ても、当初の予定通り、移行が順調に進んでいるといえる。(法人市場でのPCにおけるWindows XP搭載の比率が)来年4月には、1けたのパーセントになるよう取り組みを加速させていく」――。日本マイクロソフト株式会社は5日、2014年4月のWindows XPサポート終了に伴う中小企業向け施策の説明会を開催。その中で、代表執行役社長の樋口泰行氏は、このような意気込みを述べた。

Windows XPからの移行は順調に進むが、まだ加速は必要

代表執行役社長の樋口泰行氏

 2002年の発売後、たびたびサポート期間が延長されたWindows XPだが、2014年4月9日(日本時間)に、いよいよ日本マイクロソフトによるサポートが終了。以後、脆弱性が発見されたとしても、セキュリティパッチは提供されなくなるため、Windows 8やWindows 7への移行をことあるごとに呼びかけてきた。またMicrosoft Officeについても、Office 2003が同じタイミングでサポートを終了するため、並行して告知が行われている。

 特に4月からは、大々的な呼びかけを開始しており、各種メディアでも多く取り上げられた結果、法人市場でのWindows XP搭載PCは、PC全体の40%にあたる1400万台(2012年11月現在)から、7月には30%にあたる1050万台へ減少したという。

 またWindows XPからの移行需要を受け、PC販売台数が、2013年上半期は前年同期比13%増、6月単月では同25%増と大きく増えた。Windows XPからのアップグレードライセンスも、7月と8月の中堅・中小企業市場で前年同期比76%と大きな成長を記録しており、乗り換えが進んでいる様子がうかがえる。

2014年4月でWindows XPとOffice 2003のサポートが終了
4月からこれまでの進ちょく

 一方、一部で取り組みが遅れているのではないかとの指摘があったという自治体や教育市場についても、聞き取り調査を行った結果、「まだ集計途上ではあるが、その段階では、4月までに移行予定と回答した自治体が69%、教育委員会が71%であり、順調に推移している」(樋口社長)との状況を説明。「これからの取り組みで、さらにこの数字を上げていく」と述べた。

 しかし移行を検討する企業や自治体が増えたとはいっても、まだまだ万全といえる状態ではないため、日本マイクロソフトでは、これからも各種施策を継続していく考えを明らかにした。特に同社は、顧客へ直接リーチでき、またIT部門も整備されている大企業と比べ、取り組みが遅れているとされているSMB市場へのアプローチを強めている。

自治体・教育市場での進ちょく

移行の大きな壁の1つはコスト

 執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャーの高橋明宏氏によれば、そのSMB市場では、「Windows XPからの移行予定あり/検討中」という企業が全体の82%となり、前回の調査時より29ポイントも増えたという。しかし実際には「検討はしているけれど、今年度中の予算化が難しいので移行は来年度になってしまう」など、コストが壁になっているケースが多く見られることが分かった

 そのため、今回発表された施策では、コスト面での負担を少なくすることに主眼が置かれている。まず1つ目が、最新PC環境への移行を支援するファイナンスプラン「PC購入支援キャンペーン」だ。このキャンペーンでは、最長7カ月の支払い据え置き、最大36回の分割払い、リース金利の負担なし(日本マイクロソフトが負担)といった支援を受けられ、「PCの調達は今年度中に行いながら、支払いは来年度の予算で」といったことが可能になる。

 キャンペーン適用は先着500社に限定され、PC台数が250台未満の企業、医療、公共機関が、Windows 8 ProまたはWindows 7 Professional搭載の対象PCを購入し、かつOffice 365のクラウドサービスを購入する場合に対象となる。期間は9月5日から2014年3月末まで。

執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャーの高橋明宏氏
PC購入支援キャンペーン

 一方、Windows 8 ProとOffice 365のライセンスを同時購入した場合、ライセンスの価格を20%割り引く「移行促進キャンペーン」を9月5日から11月29日まで実施するほか、移行ポイントをわかりやすく記載した10種類のチラシ集と、数種類の説明資料、社内稟議(りんぎ)のテンプレートも提供する。

 高橋氏はこれらの施策について、「予算が難しくて移行を断念しているお客さまも多いと思われるので、ぜひこの機会に活用してもらいたい。最初は500社からだが、反応が良ければ再投資をすることも検討する。またコスト以外では、互換性対応をどうすればいいかわからないとか、移行の必要性を経営者に理解してもらえないといったことも多くあるので、移行支援ツールとしてお客さまに提供する」と述べた。

移行支援キャンペーン
移行支援ツールを提供する

 もっとも、日本マイクロソフトでも、1社ですべてのSMBに対応できるとは考えていない。特に、前述したように、自社の営業が直接リーチしていないSMBに対しては、実際の窓口になっているようなパートナーの協力が不可欠となる。このようなパートナーからも、大塚商会をはじめ、NECネクサ、JBCC、TIS、富士ソフトなど、60社から100以上のサービスが提供されており、パートナーの支援により移行を実現している企業も多い。今後もこうした体制に変更はなく、パートナーと共同でWindows XPからの移行を進めていく考えを示した。

 なお、一般コンシューマに対する移行支援施策については、年末商戦期以降に案内するとしている。

パートナーからもさまざまな移行支援サービスが提供されている

石井 一志