ニュース

IIJ、IoTに必要なデバイスやネットワーク、クラウド環境を一体で提供する「IIJ IoTサービス」を11月開始

 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は19日、IoTシステムに必要となるデバイスからネットワーク、セキュリティ、クラウド環境までを一体化し、フルマネージドで提供する「IIJ IoTサービス」を11月から開始すると発表した。

 「IIJ IoTサービス」では、IoTシステムに必要なデバイス管理やネットワーク、セキュリティ、クラウドの各要素と、それらを統合的に管理する機能を提供。これまで個別に機器やサービスを調達して組み合わせ、構築していたIoTシステムをひとつのサービスとして提供することで、企業が低コストかつ短期間でIoTシステムを導入できるようにする。

IIJ IoTサービスの概要
サービスの活用イメージ

 提供するデバイス、ネットワーク、クラウド間の接続や設定は自動化されるため、接続デバイスの増加に伴う作業負荷を軽減でき、初期導入投資や運用負荷も抑えられる。

 ネットワークは、IIJがMVNO事業者としての強みを活かし、低価格かつ大規模利用にも対応できる閉域モバイルネットワークを提供。さらに、企業WAN接続やクラウド環境への閉域接続なども提供し、高度なネットワークセキュリティ環境を実現する。

 各センサーから収集されるデータについては、あらかじめ設定したルールに応じて機器の制御を自動実行する機能を提供。設置されている場所の環境変化を感知して空調を自動調節したり、機器が停止した際の警報発信など、人の手を介さない自動制御を可能にする。

トライアル用途向け機能から提供を開始
2016年11月に提供開始予定のサービス(赤地に白文字の部分)

 11月のサービス開始時点では、IoTのトライアル用途向け機能を中心に提供。コネクティビティサービスの「モバイル接続」、プラットフォームサービスの「データハブ」「データストレージ」「データビジュアライザー」、機器サービスの「デバイスゲートウェイ」の各メニューを提供する。

 2017年以降は、エンタープライズでの本格的な利用に向けたサービスとして、企業WAN接続や、Microsft Azureなど外部クラウドサービスとの閉域接続、デバイスのマネージメントサービスなどを順次提供していく予定。

IIJクラウド本部副本部長の染谷直氏
IIJが目指すIoT

 19日に行われた記者会見では、IIJクラウド本部副本部長の染谷直氏がIoTへの取り組みを説明。IIJではすでに多くの顧客とともにIoTに取り組んでおり、クラウドサービスやネットワークサービスを提供しているが、さらに「真のIoT世界を支えるIT環境を提供する」ことを目指していくとして、デバイス、ネットワーク、クラウドを一体管理できるIoT環境や、セキュリティ機能を有するネットワークを提供していくとともに、デバイスにエンベデッドな通信モジュールと、分散型クラウドデータセンターによる超低レイテンシーな高速アナリティクス環境の提供を目指すとした。

IIJクラウド本部ビッグデータソリューション課長の岡田晋介氏
提供するコネクティビティサービス

 IIJクラウド本部ビッグデータソリューション課長の岡田晋介氏は、IIJ IoTサービスの概要を説明。コネクティビティサービスについては、現在IIJはMVNO事業者として120万回線を提供しているが、2020年には700万回線の提供に向けて投資を行っており、こうしたリソースを活かしてIoTに最適なモバイル環境を提供していくとした。

 モバイルサービスの料金については、現在想定している例として、速度制限なし、上り0.2円/MB、下り0.6円/MB(夜間下り0.2円/MB)といった料金体系を挙げた。サービス全体の料金は未定だが、デバイス、ゲートウェイ、ネットワークを含めて1拠点あたり月額1000円程度で利用できる形を試算しているという。

提供するプラットフォームサービス
設定更新のリモート管理とデバイス制御の双方向通信機能を提供
リアルタイムデータ可視化機能や予兆監視・自動制御を提供
監視画面の例

 プラットフォームサービスとしては、IIJが独自開発したルーター「SEIL」の自動設定、自動接続、集中管理フレームワークで培ったマネージメント機能を集結し、一体化したIoT最適なフルマネージメント機能を提供すると説明。独自開発のデバイスエージェントにより、設定更新などのリモート管理とデバイス制御の双方向通信機能により、「電源を入れればすぐに使える」環境を提供していくとした。

 また、電力事業での取り組みを応用したリアルタイムデータ可視化機能と、ビッグデータ技術実績を組み合わせた予兆監視・自動制御も提供する。

デバイスゲートウェイ
「SA-M0」

 IoT対応のデバイスゲートウェイ機器についても、LTE/3G対応のルーター型機器に加え、IoT向けゲートウェイ機器を独自開発し、ラインナップを拡充していくとした。

 将来に向けては、自動運転や医療系などの分野ではさらなる低レイテンシーが求められているとして、デバイスのなるべく近くで処理を行えるよう、自律分散型クラウド基盤の構築を目指していくと説明。また、アナリティクスによるネットワークやクラウドまで含めた制御・管理の自動化、ネットワークではソフトウェアSIMや独自モバイル網、IoTに適した通信技術など、さまざまな技術を検討していくとした。