週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】AIとは

 「Artificial Intelligence」の略称で、人工知能のこと。人間の知的行動をコンピューターで実現・再現するための研究分野であり、近年は、文章や画像をAIで作り出す「生成AI」に大きな注目が集まっている。一方、AIの利用には莫大な計算資源が必要とされ、それに伴う電力消費増大の観点から、データセンター業界の動向にも大きな影響を与えることが予想される。

 AIを開発・運用するには、高性能なコンピューターを長時間にわたって稼働させなければならなず、結果として電力消費も多くなる。一般的なデータセンターであれば、1ラックあたりの電力容量が5kVA前後であることは珍しくないが、AI開発を目的とする機器群の場合、これでは到底足りないという事態が発生しうる。

 そこで一部のデータセンターでは、1ラックあたりの電力容量が20kVAを超えるレベルのサービスをオプション的に提供する例が出てきた。

 ただし、問題は電力供給力だけではない。電力消費が増える分、機器の発熱もまた増大するため、安定運用のためには冷却設備が重要になってくる。ファンで空気を拭きあてるだけの空冷方式では追いつかなかったり、冷風を作ろうにも必要量が多すぎて電力効率が悪いといった事態が考えられる。

 そこで期待されているのが液体を用いた冷却である。液体をホースで循環させてて機材を冷やす方式は「液冷」と呼ばれ、この場合データセンター側で冷却水を作って供給する。また、機材そのものを特殊な液体に浸す「液侵」という方式も存在する。いずれも、実用化に向けた動きが各所で進められている。