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Copilot+ PCが拓くAI時代のワークスタイル ――日本マイクロソフト小澤氏に聞く
- 提供:
- 日本マイクロソフト株式会社
2025年4月30日 09:00
3月27日、東京ビッグサイトで「Microsoft AI Tour Tokyo」が開催された。「全製品にAIを搭載する」と表明するマイクロソフトがAIへの取り組みを発表するイベントだ。その会場入口すぐの大きなブースで展示されていたのが、Microsoft SurfaceやPCメーカー各社の「Copilot+ PC」だ。
生成AIの利用が一般化した中で、日常的なPC作業でもAIを動かすために登場したのが「AI PC」や「Copilot+ PC」だ。
AI PCとは、NPU(Neural Processing Unit)を搭載し、AI処理をローカルで効率的に実行できるPCを指す。さらにCopilot+ PCは、AI処理で40TOPS以上の性能を持ち、16GB以上のメモリや256GB以上のストレージを持つPCとして、マイクロソフトが定義した新しいPC仕様だ。
こうしたCopilot+ PCのメリットや、これからの展開について、マイクロソフトでは現状をどう見ているのか。2025年3月に新たに法人部門のリードに就任した日本マイクロソフトの小澤拓史氏(業務執行役員 デバイスパートナーセールス事業本部 事業本部長)に、Microsoft AI Tourの会場内で話を聞いた。
基本性能の高いPCに、ローカルAIとセキュリティを搭載
小澤氏はこれまで、コンシューマー事業本部でモダンライフ戦略本部の本部長として、コンシューマー向けのCopilot+ PC事業を率いてきた。その当時から、法人ユーザーからもCopilot+ PCへの高い関心を感じていたという。
ただし、コンシューマーと法人とでは関心の持ち方に違う部分もあると小澤氏は言う。コンシューマーでは、Copilot+ PCがAIを使って自分の生活をどう豊かにするか、あるいはどうワクワクさせてくれるかということが中心となる。それに対して法人では、どう業務効率化に役立つのか、あるいはセキュリティやプライバシーは大丈夫かといったことが聞かれるという。
「いずれにしても、高い関心が伝わってきており、これから大きく盛り上がってくるだろうと感じています」(小澤氏)
では、Copilot+ PCをビジネスで使うことのメリットには、具体的にどういったことがあるか。小澤氏はまず、「これまでで最も速く、最もインテリジェントで、最も安全なWindows PC」というCopilot+ PCのキャッチフレーズを挙げた。Copilot+ PCは、まずPCとしての基本性能が高い。そしてそこに、40TOPS以上の性能を持つNPUと、効率的に動くSLM(小規模言語モデル)の「Phi Silica」を搭載し、ローカルデバイスで効率的にAI処理を動かせる。
さらに、Copilot+ PCのセキュリティ面についても小澤氏は強調した。その背景として、マイクロソフトのセキュリティへの取り組み「Secure Future Initiative」を同氏は挙げる( 図1 )。この中には、設計段階からセキュリティを組み込む「Secure by design」、デフォルト設定でセキュア側に倒しておく「Secure by default」、安全な運用の「Secure operations」の3つの原則がある。
「Copilot+ PCも、Secure Future Initiativeに沿った形で設計されています」と小澤氏は言う。
まず、Copilot+ PCの要件を満たすCPUでは、マイクロソフトが仕様を定義したセキュリティチップ「Microsoft Pluton」を内蔵している。これにより、ハードウェアレベルのハッキングによって認証情報などの重要情報を抜き取られることを防ぐ。また、Copilot+ PCは「Windows Hello」による生体認証に対応しており、たとえばそのPCで表示された内容を呼び出せる「リコール」機能でも、本人が目の前にいないと利用できないようになっている。
そのほか、AIを使ったフィッシングの防止なども含め、セキュリティ面で堅牢なものに仕上がっている、と小澤氏は強調した。
ただし、Copilot+ PCの最大の特徴であるローカルAIについては、まだ黎明期で、対応するアプリケーションはまだ多くない。これについて小澤氏は「インターネットやスマートフォン、クラウドなども、世に出てきてから時間をかけてアプリのエコシステムが出来て、それによって全員が利便性を感じるようになりました。Copilot+ PCもやはり、エコシステムが出来上がるまでに、一定の時間はかかると思っています」と答えた。
とはいえ、これからエコシステムが広がっていくことについては、小澤氏は自信を見せる。「AIをローカルで処理するワークロードとクラウドで処理するワークロードを、要件にしたがって適材適所で分けることによって、セキュリティなどの不安を解消できます。そのため、エコシステムがこれから広がっていき、ユーザーの皆さんの利便性や業務効率に貢献していくのではないかと感じています」(小澤氏)
リアルユーザーとして実体験した、Copilot+ PCの日常で便利な点
そういう小澤氏自身も、業務用PCとしてCopilot+ PCを利用している。そのリアルユーザーとしての実体験から、日常的な用途でCopilot+ PCが便利な点について聞いてみた。
特に便利だったとして語られた1つ目は、カメラやマイクにAIでエフェクトを加える「Windows Studio Effects」( 図2 )だ。自宅からリモート会議に参加するときに、小澤氏の部屋では照明が逆光になってしまうことなどから、顔が暗く映ってしまっていたという。「Windows Studio Effectsの『ポートレイトライト』機能によって、『リングライトを置きました?』と言われるぐらいに顔が明るく映るようになりました。個人的に、Copilot+ PCのメリットを一番体感できた機能です」(小澤氏)
2つ目に小澤氏が挙げたのは、リアルタイムで言語を翻訳して字幕を表示する「ライブキャプション」機能だ( 図3 )。「マイクロソフト本社の報告会は英語で行われるわけですが、英語が得意な人も苦手な人もいます。そのときに本社の人間が『こちらはライブキャプションで見ているから日本語で話していい』と言ってくれるというのは、わかりやすい例だと思います」(小澤氏)
これらに付け加えて小澤氏が挙げたのが、バッテリー駆動時間の長さだ。Copilot+ PCは「1日使えるバッテリーライフ」と言われており、プロセッサベンダー各社も最新チップで省電力性能を大幅に向上させている。
その効果として小澤氏は「本当に丸1日持つようになったので、別途バッテリーを持ち歩かなくなりました」と実感を込めて語る。携帯電話と同じように、寝ている間に充電しておけば、朝持ち出して会社に行き、そのまま1日仕事ができるという。日帰り出張でも、ACアダプターを持っていく必要がなくなった。「Copilot+ PCで個人的に大きく体感している魅力の一つです」(小澤氏)。
これから4~5年使うPCにはCopilot+ PCを
折しも、2025年にはWindows 10がサポート終了を向かえ、Windows 11搭載PCへの買い替えの波が発生すると予測されている。
これについて小澤氏は企業ユーザーに向けて「セキュリティなどを安心してお使いいただくために、なるべく早くWindows 11にアップグレードしていただきたいと思っています。そしてその中で、一つの最適な選択肢として、Copilot+ PCをぜひお選びいただければと思っています」と呼びかける。
「ChatGPTが2022年末に登場し生成AIの波が来て、いまはAIが浸透してきている途上にある。その中で、AIの基盤の一つとして、エッジデバイスでAIが動く。これによって、効率性や、クラウドコスト削減、セキュリティなど、総合的な水準を高めていくことができます。同じPCをこれから4~5年使っていくことを考えたときに、Copilot+ PCが強固な基盤になると思っています」(小澤氏)
最後に、今後のCopilot+ PCの展開について小澤氏に聞いた。
まずハードウェアに関しては、Copilot+ PCやチップなど、各社から多様なモデルが出てくるだろうと小澤氏は答えた。「Windowsのエコシステムの強みで、パフォーマンスのいいものや、持ち運びしやすいもの、強靭なデバイスなど、多様なニーズに応じてデバイスを提供できる。それによって、さまざまなアイデアが詰まった新しいデバイスが出てくることに期待しています」(小澤氏)。
また、NPUに対応したソフトウェアについても、これからますます出てくるだろうとして、「よりCopilot+ PCの魅力を高めてくれると思っています」と小澤氏は答えた。
こうしたエコシステムについては、前述のとおり、これから出来上がって広がっていくだろうと小澤氏は見ている。「われわれも、しっかりパートナー企業と連携してエコシステムを盛り上げ、Copilot+ PCやNPUを使ったエッジAIの世界をより魅力的なものにするよう、しっかり頑張っていきたいと思います」と小澤氏は語った。
●お問い合わせ先
日本マイクロソフト株式会社
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