トピック

これを使わない手はない? 確かな実力とTCOに裏打ちされたAMD EPYC搭載サーバー、その利点を知る

 デル・テクノロジーズは、コンピュータ/サーバーメーカーとして知られるDellと、エンタープライズストレージのトップベンダーEMCが2016年に合併してできた企業。PC、ワークステーション、サーバー、ストレージといったハードウェア製品を販売しているほか、グループ会社には仮想化ソフトウェアでトップシェアのVMwareもおり、ソフトウェアも含めたITソリューションを包括的に提供するベンダーとなっている。

 そのデル・テクノロジーズがデータセンターやエンタープライズ向けのサーバーとして提供している製品が「PowerEdge」シリーズだ。PowerEdgeサーバーには、インテル CPUを搭載した製品と、AMD CPUを搭載した製品の両方がラインアップされているが、現在、AMD CPUを搭載するPowerEdgeのうち、コア数が多い構成を対象に、Windows Server 2019の「コアキャップ制ライセンス」という独自のプログラムが行われている。

 そうした取り組みの背景を、デル・テクノロジーズ株式会社 データセンター・コンピュート&ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー 岡野家和氏に伺ってきた。

デル・テクノロジーズ株式会社 データセンター・コンピュート&ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー 岡野家和氏

サーバーのTCO削減に大きく貢献する第2世代 AMD EPYCに注目が集まる

第2世代AMD EPYCの特長(出典:デル・テクノロジーズ)

 サーバーのハードウェアを購入する検討するIT担当者にとって、やはり気になるのは得られる性能、そしてその性能と購入価格、運用コスト(電気代など)を含めたTCO(Total Cost of Ownership)ではないだろうか。

 最もTCOを左右するのは、サーバーに搭載されているCPUのスペックや性能だろう。VMwareのような仮想化ソフトウェアで仮想化して使う場合でも、HPC(High Performance Computing)に使う場合でも、AIの処理を行う場合でも、CPUなどのマイクロプロセッサの処理能力が何よりも大事だからだ。このため、性能とコストのバランスが取れたCPUを選択するのは、TCOを削減する第一歩と言える。

 現在のサーバー向けプロセッサでは、大きく分けて、2つのメーカーが選択肢として存在している。圧倒的なシェアを誇るインテル Xeon スケーラブル・プロセッサー、一方、最近シェアを伸ばしているのが、現在は第2世代の製品が提供されているAMDのEPYC(エピック)だ。

第2世代AMD EPYC(出典:AMD)

 デル・テクノロジーズの岡野氏によれば「当社としては、CPUの選択には中立の立場で、どちらのCPUが土俵でも他のサーバーベンダーより良いサーバー製品を提案するのがゴール」と述べるように、同社のサーバー製品となる「PowerEdge」には、インテル CPU、AMD CPUを搭載した製品が両方用意されている。

 そんな中でも、AMDが国内外の大手クラウドベンダーや世界のスパコンでの採用を次々と発表して、注目を集めている。市場調査でもAMDが市場で四半期ごとにシェアを上げている状況であり、市場からの注目度も高まっている。その背景にあるのは、昨年の8月にAMDが発表した最新CPU「第2世代AMD EPYC」の存在だ(その発表記事はこちら)。

 第2世代EPYCには、1つのCPUソケットで最大64コアの製品がラインアップされており、1ソケットで従来の2ソケット分のCPUコアを実現することができる。

 そうした大量のコアを1つのパッケージに実装できるようになった秘密は、AMDがチップレットと呼んでいる実装技術にある。

 従来のサーバー用CPUでは、1つのパッケージに大きめのダイを1つ搭載する形になっていたが、AMDのチップレット方式では、複数のチップをパッケージ上に実装する形になっている。

 第2世代EPYCでは、1つのパッケージにIOD(I/O Die)と呼ばれるI/Oコントローラを1個と、サーバー初の7nm(ナノメートル)のCPUダイを8個、実装できるようになっている。そして1つのCPUダイあたりCPUコアが8個実装される形になっているため、8x8=64コアが1つのパッケージで実装可能になっているのだ。製造する時にダイの面積を小さくすることで、1つの大きなダイを作るよりも良品率が上がるため、製造上もこの構造が合理的なのである。

 前世代の2倍となる1ソケット最大64というコア数に加え、メモリは転送速度が20%高速化(3200MT/s規格)、またI/O周りも、PCI Express Gen 4と呼ばれる最新仕様により転送速度が従来の2倍になっているなど、さまざまなメリットがある。

他社に比べて製品ポートフォリオが充実している第2世代AMD EPYC搭載のPowerEdge

 こうした第2世代AMD EPYCを採用したデル・テクノロジーズの製品ラインアップについて、岡野氏は「当社の強みは、製品のポートフォリオにある。メジャーベンダーとしては最も充実している」と話す。

 岡野氏によれば「初代EPYCでは、AMD自身が1ソケットを押していたところもあり、1ソケットのシステムを中心に売れていたが、現在ではCPUパワーとメモリ容量の観点で、第2世代から追加した1Uサイズの2ソケットモデル「PowerEdge R6525」が人気」とのこと。また「先日は大規模なHadoop基盤に2Uの1ソケットモデル「PowerEdge R7515」が採用されるなど、製品ポートフォリオがビジネスの獲得につながっている」という。

 実際、2U・4ノードの高密度型である「PowerEdge C6525」は、東京大学物性研究所の理論演算性能約6.9ペタフロップスの第6世代のスーパーコンピュータシステム「Ohtaka」に採用され、2020年10月12日にプレスリリースも発行されている

第2世代EPYC搭載PowerEdgeのラインアップ(出典:デル・テクノロジーズ)

 お客さま層も、以前はサービスプロバイダーとHPCが中心だったのだが、第2世代をきっかけに通信キャリアや金融、自動車メーカーなど、業種を問わない採用が続いているという。

 一方、最もコア数が効くといわれる仮想化分野では、大手ネットワークインテグレーターであるネットワンシステムズ株式会社の社内ITにおいて、従業員4,000人級の大規模VDI基盤がEPYCベースで稼働しており、サーバーは「PowerEdge R7525」の先代モデルだという。「VDIの領域でAMDの突出したコア数がもたらす性能優位性を、第1世代EPYCから活用されてきたネットワンシステムズ様は、国内外の、先駆者的なユーザー様と言えます」と岡野氏は語る。

 さらに、デル・テクノロジーズの第2世代EPYC搭載製品は、こうした用途のサーバーだけでなく、 HCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品となる「Dell EMC VxRail」ならびに、Microsoft Azure Stack HCIソリューションである「AX-6515」にも採用されている。

Azure Stack HCI「AX-6515」(出典:デル・テクノロジーズ)

Windows Server 2019ライセンスに関する取り組み
3社の協力で生まれたコアキャップ制プライシングのOEMライセンスで、さらにお買い得に

 先に紹介したベンチマークの結果を見るように、性能面では、コア数が多いことは有利に働くことが多い。仮想化ソフトウェアで高いシェアを持つVMware製品のようにソケット課金のソフトウェアであれば、プロセッサのコア数がいくつあってもライセンス上は関係ないため、非常に有利だ。

 しかしWindows Serverなど、コア数に課金するライセンスにおいては、それが逆に不利になるケースがある。そこでデル・テクノロジーズはマイクロソフトとAMDとの協力のもと、これをカバーするための取り組み「Windows Server OEM ライセンスのコアキャップ制プライシング」を行っている。

 この施策は、1ソケットあたりのコアが48コアでも64コアでも、最大32コアでライセンス課金打ち止めになるというもの。AMD EPYC搭載のPowerEdgeサーバーとWindows Server 2019のOEMライセンス版を同時に購入する場合に適用される。

Windows Server OEM ライセンスのコアキャップ制ライセンス課金(出典:デル・テクノロジーズ)

 例えば1ソケットあたりで64コアの第2世代EPYCの場合には、コアキャップ価格を適用すると最大32コア分のライセンスを購入すればよく、残りの32コア分のライセンスは購入しなくても済むため、「Windows Serverのライセンス料は半分になる」(岡野氏)わけだ。

 岡野氏によれば、デル・テクノロジーズはこのキャンペーンを大きなアドバンテージと位置づけ、既に10か月の期間実施しており、本キャンペーンは2021年の6月までに購入したサーバーまで対象になるとのことだ。

 Windows Server 2019をOSに、多くのコアを搭載したサーバーを導入したいと考えているIT部門にとっては、非常にお買い得なプロモーションだと言えるだろう。

 Windows Serverのシェアが高いデル・テクノロジーズならではの施策といえる。

デル・テクノロジーズはグローバルにWindows Serverでのシェアではダントツ1位(出典:デル・テクノロジーズ)

 一方で、コア課金のライセンスへの適応、あるいは高クロックを求めるアプリケーションへの適応として、CPUのコア数を減らした高クロック製品もリリースしている。8コアのEPYC 7F32、16コアのEPYC 7F52、24コアの7F32などが該当する。

 岡野氏によれば「お客さまの中にはコア数を減らしてクロックを上げたモデルが欲しいという声があり、AMDがそうした製品を追加したため、当社もそれに対応した製品を5月から提供開始している」とのこと。

 これらの3製品は、コア数を減らしてクロック周波数を上げることで性能を引き上げる方向に振ったモデルとなる。岡野氏が話すように、デル・テクノロジーズではこれらを搭載した第2世代AMD EPYC搭載サーバー(R6516/R7515/R6525/C6525/R7525)の提供を開始しており、コア数で課金されるソフトウェアを利用する場合に最適な選択肢となっている。

コアあたりのソフトウェアライセンスを抑えるSKUを追加(出典:デル・テクノロジーズ)

 最後に岡野氏は「今後も、AMDは新しいCPUをリリースするというロードマップを積極的に開示している。2021年の第3世代はもとより、5nm製品となる2022年以降の第4世代AMD EPYCまでリリース計画を開示済みだ。サーバーベンダーとしてのデル・テクノロジーズは、新しいCPUがリリースされたのと同じタイミングで製品をリリースしていく計画だ」と述べ、今後とも、AMD EPYCシリーズを搭載したPowerEdgeを、CPUベンダーのリリースと同じタイミングで出すことを強調。強力にコミットメントしていくという姿勢を明らかにした。

 その意味では、これから第2世代EPYCの購入を検討しているユーザーも、長期間その製品ラインが提供されることが保証されていることになるので、安心して購入できるといえるだろう。