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「VMware vCloud Air」機能拡充、1時間28円の従量課金モデルも登場
(2015/6/5 06:00)
ヴイエムウェアは4日、同社の提供するパブリッククラウドプラットフォーム「VMware vCloud Air」において、従量課金型のクラウドサービス「VMware vCloud Air Virtual Private Cloud OnDemand」と、ネットワーク仮想化プラットフォーム機能をサービスとして提供する「VMware vCloud Air Advanced Networking Services」を国内でも提供すると発表した。同時に、災害復旧サービス「VMware vCloud Air Disaster Recovery」の機能を強化することも発表している。
vCloud Airは、2014年11月に国内のデータセンターでも利用可能となったサービス。米VMware ハイブリッドプラットフォーム担当副社長のScott Collison氏は、vCloud Airについて、「これはvSphereのオンプレミス環境と連携して利用できるハイブリッドクラウドプラットフォームだ。災害対策や既存アプリケーションの拡張、開発およびテスト環境、ウェブとモバイルアプリケーションの開発、クラウドホスト型デスクトップなど、幅広い利用シーンで導入されている」と説明する。
国内では、ソフトバンクとの合同事業を軸にサービスを展開しており、5月20日には新たに仮想デスクトップサービス「VMware Horizon Air」を発表するなど、サービスの拡充を図っている。ヴイエムウェア 代表取締役会長の三木泰雄氏によると、vCloud Airは「検証開発環境はもちろんのこと、目の前に迫った『Windows Server 2003』のサポート切れに伴う移行先やアップグレード先としても高いニーズがある」という。
今回新たに発表した従量課金型のvCloud Air Virtual Private Cloud OnDemandは、これまでサブスクリプション型で課金していた専有型クラウドの「VMware vCloud Air Dedicated Cloud」および共有型クラウドの「VMware vCloud Air Virtual Private Cloud」に加えて提供する新たな料金体系。使用したリソース分を1分単位で課金するため、「スモールスタートに最適で、突発的なニーズにも対応できる」と、ヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長の巨勢泰宏氏は説明する。
vCloud Air Virtual Private Cloud OnDemandでは、仮想マシンの伸縮性と粒度によって細かく課金され、例えば8GバイトのRAMと2つの仮想CPUを備えた仮想マシンの利用料金は1時間28円(税別)となる。オンラインで価格のシミュレーションができるようになっており、価格を確認してから購入が可能だ。
この新料金体系はオーストラリア、ドイツ、イギリス、アメリカのデータセンターにてすでに利用可能で、日本での提供開始は7月上旬からとなる。
もうひとつの新サービスvCloud Air Advanced Networking Servicesは、ヴイエムウェアの提供するネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」をvCloud Airに実装したもの。これにより、「エンタープライズレベルのセキュリティサービスがvCloud Air上で提供できる」(巨勢氏)という。
主な特徴としては、仮想マシン単位のファイアウォールにより、マイクロセグメンテーションが導入できること。オブジェクトベースのルールを設定することで、通常のファイアウォールより運用負荷を下げながらセキュリティを保つことが可能となる。この機能は分散ファイアウォールとしてハイパーバイザー内部に実装されるため、ネットワークトラフィックにボトルネックは発生しないという。また、アプリケーションルールに基づくレイヤ7のロードバランシング機能も備えている。vCloud Air Advanced Networking Servicesは、第3四半期(7~9月)に提供開始となる予定だ。
機能強化したvCloud Air Disaster Recoveryでは、複数世代前のスナップショットにロールバックできるようになるほか、vCloud Airにフェイルオーバーした環境をユーザーのプライマリ環境に複製するネイティブフェールバックに対応。また、セルフサービスによる自動化機能も強化している。これら新機能は、7月上旬に提供開始される。
会長の三木氏は、vCloud Airの事業戦略として、「今後もvCloud Airを強化し、ハイブリッドクラウドを推進していく。5月にはSLAも向上させており、ミッションクリティカルシステムもクラウドの移行対象としてもらいたい」と述べる。「ビジネスに貢献できるITを実現するには、事業スピードに合わせた俊敏性のある開発やビジネスの変化に対応できる柔軟性の高い環境が必要。その中で、プライベートクラウドもパブリッククラウドも含めたハイブリッドクラウドを一元管理し、あらゆるデバイスからいつでもどこからでも安全にクラウドにアクセスできる『One Cloud, Any application, Any Device』を実現するアーキテクチャが求められる。これを可能とするのがvCloud Airで、今後もさまざまな顧客ニーズに応えたサービスを展開していきたい」(三木氏)。