ニュース

集合知によるイノベーションを支援するツール、東北大と富士通SSLが開発へ

 株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(以下、富士通SSL)は16日、集合知によるイノベーションを支援する商品の開発を加速するため、東北大学 電気通信研究所の北村喜文教授と産学連携し、インタラクティブコンテンツ技術の実用システム開発に着手した。

 イノベーションを加速するための「集合知」に注目が集まる中、富士通SSLは「集合知」の形成と展開を支援するための新たなコミュニケーションツールとして、「WebコアInnovation Suite」を開発している。

 今回はさらに「複数の参加者が情報を共有する場面――例えば、多量の写真やアイデアを記述したカードを整理したり、その中から取捨選択したりする場面では、時系列での表示や地図上での表示やグループ別の表示など、切り口を変えて情報を並べ替えた上で考察することが有効」とし、「WebコアInnovation Suite」にコンテンツの柔軟な表示方法を取り入れるため、インタラクティブコンテンツ設計分野の第一人者である北村喜文教授と共同研究を開始する。

 インタラクティブコンテンツは、利用者の操作に応じて内容や状況が変化するコンテンツのこと、利便性や快適制だけでなく感動や喜びなどポジティブな感情を与えてくれる。また、イノベーションはポジティブな思考環境の中から創出されやすいともいう。富士通SSLは、北村研究室との共同研究により、インタラクティブなコンテンツ表示や快適なコミュニケーション空間作りの技術や知見を採り入れ、発想に刺激を与えるインタラクティブな新商品の開発を目指す。

 第一弾として、北村研究室が開発した動的で柔軟なコンテンツの表示技術「Dinamic FLIP」を、富士通SSLが12月に販売を予定している「WebコアInnovation Suite」の記録・再現・分析を可能とする「共創基盤」に適用する。

 Dynamic FLIPは、多数の写真を1枚の画面上に同時に表示する方法として、個々の写真に「大きくなること」と同時に「重ならないこと」を動機付けることで、自律的に動きのある画面で見せる技術。マウスポインタでフォーカスを当てられた写真は大きくなり、その写真の色に似た写真が寄ってくるなど、利用者の操作とそれによる写真の動きの柔軟性とインタラクティブ性に特長がある。

 これを基に「共創基盤」のほか、写真やメモカードなどインタラクティブな表示に効果のある分野(流通・文教)向けの商品化を計画する。

川島 弘之