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ティントリ、プライベートクラウド対応を強化したスマートストレージの最新版
富士通とのOEMパートナー契約も発表
(2014/9/11 06:00)
ティントリジャパン合同会社(以下、ティントリ)は9月10日、仮想化環境を監視、把握、適用するスマートストレージ「Tintri VMstore」の最新版を販売開始したと発表した。最新版では、OSのメジャーアップデートである「Tintri OS 3.0」、複数の「Tintri VMstore」を統合管理する仮想アプライアンスの新版「Tintri Global Center 1.1」、仮想マシン単位での運用管理の自動化を実現する業界初のツール「Tintri Automation Toolkit 1.0」が提供される。また今回、ティントリとして初めてOEMパートナー契約を富士通株式会社と締結し、富士通がティントリOEM製品である「ETERNUS TR series」の販売を、8月27日に開始したことも説明された。
「Tintri VMstore」最新版の発表にあたり、米Tintri CEOのケン クライン氏が、ワールドワイドでの事業概況について説明した。「現在、当社のスマートストレージ製品は、世界で500以上のユーザーに利用されているが、その品質の高さが評価され、顧客満足度は100%となっている。対前年の売上成長率は2.4倍とビジネスも好調に推移しており、初期導入の顧客からは18カ月以内に平均2.7倍の追加投資がある。2015年にはIPOも検討している」と、製品力の高さを武器に急成長を続けており、IPOも視野に入れているという。
「Tintri VMstore」の販売状況と製品戦略については、「『Tintri VMstore』の販売台数は1000台を突破し、その上で20万以上のVMwareが稼働している。導入先の業種は幅広く、教育、エネルギー、金融、政府機関、ヘルスケア、サービス業、法律事務所、製造、流通、テクノロジーなど、クラウドを利用しているあらゆる企業で活用されている。利用用途としては、サーバー仮想化が40%、VDIが30%、そしてプライベートクラウドが30%となっている。今後はプライベートクラウド領域における用途拡大を目指し、性能・自動化・迅速性・拡張性・経済性の5つのポイントに重点を置いて製品展開していく」と述べている。
次に、ティントリ 職務執行者社長の河野通明氏が、日本市場での販売戦略に関して説明した。「昨年から今年にかけて、日本法人の体制強化を図っており、2014年初頭比較で社員数が1.5倍に増加している。また、新たなパートナーシップの確立にも積極的に取り組み、今回、富士通と初めてのOEMパートナー契約を結ぶことができた。さらに、マーケティング展開の強化も図り、日本語でのホームページを立ち上げたほか、ベンダー単体での国内イベントへの出展機会も増やしている」という。
「そして、日本市場においても、今回リリースした『Tintri VMstore』最新版の販売に力を注いでいく。現在、日本ではクラウドストレージのニーズが高まっている一方で、クラウド事業者はストレージエンジニア不足に陥っているのが実情。『Tintri VMstore』最新版は、プライベートクラウド環境向けの機能を大幅に強化しており、クラウド事業者が抱えるストレージ課題を解決できると確信している」と、日本市場でのさらなる販売拡大に意欲を見せた。
また、発表会には、富士通 ストレージシステム事業本部VPの工藤哲郎氏も同席。「ティントリとのOEMパートナー契約にともない、成長分野に向けた新たなストレージ製品として、『ETERNUS TR series』を投入した。同製品は、特定VMに一時的な負荷が発生しても安定した性能を維持することが可能。また、起動後、セットアップまでわずか10分で簡単・スピーディに導入できる点も特徴だ。さらに、VM単位で、運用管理者が知りたい情報を見える化できるため、仮想化環境の運用管理コストを大幅に削減できる」と、ティントリOEM製品の特徴を紹介した。
「こうした製品機能面でのメリットに加え、ティントリと共同で、より高い品質を顧客に提供する。当社の持つ国内最大規模のサービス体制を生かし、顧客システムの安定稼働をサポートするとともに、もしものトラブル発生時にも、製品を熟知した専門技術メンバーが、ティントリとダイレクトに連携しながら的確にトラブルに対応していく」と、ティントリの製品力と富士通のサービス体制を組み合わせ、両社のビジネス拡大を目指していく考えを示した。
「Tintri VMstore」最新版で提供される各製品のポイントとしては、OSのメジャーアップデート「Tintri OS 3.0」では、新たにRed Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.3をサポートし、マルチハイパーバイザーに対応した。ティントリ 技術本部長の村山雅彦氏は、「これにより、単一の『Tintri VMstore』上に、VMwareとRHEVの複数のハイパーバイザーで仮想マシンを展開することが可能となった。RHEV環境にも、vSphere環境と同レベルのパフォーマンスと各種機能を提供する」としている。また、Microsoft Active DirectoryおよびLDAPディレクトリサービスを、ロールベースのアクセス制御(RBAC)と統合することで、ユーザーごとのアクセス制御と認証を可能にし、マルチテナント基盤にも対応した。
さらに今回のメジャーアップデートにより、単一の「Tintri VMstore」上に最大2000台の仮想マシンを格納することができるようになった。「『Tintri OS 3.0』は、1システムで最大2000の仮想マシンおよび6000の仮想ディスクをサポートし、特に大規模VDI環境における集約率向上とコスト削減を実現する。既存製品の『T650』システムも、ソフトウェアをアップグレードすることで、仮想マシンのサポート台数を1500から2000に拡大できる」(村山氏)と、スケーラビリティの向上も図ったという。このほか、エコシステムの強化として、「Tintri OS 3.0」で稼働するすべてのモデルにおいて、VMware VCAI認定を取得している。
複数の「Tintri VMstore」を統合管理する仮想アプライアンスの新版「Tintri Global Center 1.1」では、異なる拠点に設置された「Tintri VMstore」を最大32台までダッシュボードで管理することが可能。単一の「Tintri VMstore」に格納できる仮想マシンが最大2000台に拡張したことで、最大6万4000もの仮想マシンを管理できるようになった。また、「Tintri VMstore」のパフォーマンスと容量の推移を最大30日までさかのぼってモニタリングすることができ、傾向分析を容易にして迅速な問題解決につなげることができる。さらに、仮想マシン単位でデータレプリケーションの状況を監視し、災害対策のサービスレベルを高めることも可能となっている。
新たに提供する「Tintri Automation Toolkit 1.0」は、ストレージにおける仮想マシン単位での運用管理の自動化を実現する業界初のツール。VMware vSphere PowerCLIを利用したスクリプティングツールで、仮想マシン単位での細かいオペレーションを自動実行することが可能となる。具体的には、PowerShell環境から、仮想マシンや仮想ディスク単位でパフォーマンスと容量をモニタリングできるほか、仮想マシン単位でのスナップショット、クローニング、レプリケーションなど、さまざまな管理タスクを自動化できる。
なお、「Tintri OS 3.0」は、「Tintri VMstore」製品に標準搭載されており、サポート契約済みのユーザーは、無償でアップグレードが可能。「Tintri Global Center 1.1」のライセンスは参考価格80万円(1ノードあたり、税別)となる。すでにライセンスを購入しているユーザーは、無償でバージョン1.1にアップグレードできる。「Tintri Automation Toolkit 1.0」は、「Tintri VMstore」のユーザーに無償で提供する。