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マイクロソフト、教育機関向けOffice 365の説明会~国内利用は170万人

「メールのクローリングは行わない」Googleとの違いを鮮明に

 日本マイクロソフト株式会社は5月22日、教育機関向けの無償クラウドサービスOffice 365 Educationの国内ユーザー数が170万人を突破したと発表した。

ストレージを25GBから1TBへ増強、近日中にYammer Enterpriseも提供

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 オフィス・ビジネス本部長 キャロライン・ゴールズ氏

 クラウドストレージ OneDrive for Businessでは現在の1ユーザーあたり25GBから1TBへ増強することが発表されたが、教育機関向けの無償クラウドサービスでも同様に容量を増強することが発表された。また、現在提供中のLyncに加えて、SNS機能の追加。近日中にYammer Enterpriseの提供を行うと発表した。

 マイクロソフトでは企業向けのOffcie 365 Enterpriseと同じサービスが無償で利用できるOffice 365 Educationを2012年6月から提供開始した。

 2013年12月からは教育機関向けの特典として、教職員全員がOffice 365 ProPlusまたはOffice Professional Plusを導入している場合には追加費用なく学生向けOffice 365 ProPlusが利用できる「Student Advantage」を提供。「Student Advantage」は、すでに国内47の教育機関で30万人の生徒や学生に利用されているという。

 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 オフィス・ビジネス本部長 キャロライン・ゴールズ氏は、Office 365は米国ではFortune500の6割以上の企業がすでに導入しており、日本においても日経225銘柄企業の60%が導入済み」だと数字を挙げ、「Office 365は企業の大小にかかわらず最適なソリューションを、ニーズに合わせた形で提供できている」ことによるとして、企業だけでなく政府系、教育機関、NPO向けにもソリューションを提供していることを説明。次世代のビジネスリーダーとなる学生たちに、どんな業界にいっても活躍できるような基盤を築く支援をしたいと述べた。

小規模/中規模/大規模企業向け、行政機関向け、教育機関向け、NPO向けと様々なニーズに対応するプランを用意
Office 365 Educationのプラン。オンラインストレージは順次1TBに増強される

Office 365導入の決め手は「無償、多言語対応、国内法適用」~大阪大学

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 パブリックセクター 文教営本部長 中川 哲氏

 発表会ではOffice 365 Educationを導入する東京理科大学 理事 半谷精一郎理事、大阪大学 サイバーメディアセンター 情報メディア教育研究部門 清川 清准教授が導入の理由を語るビデオコメントも紹介された。

 どちらの大学でも、OB・OGもネットワークを介してつながれるようにしたい考えで、理科大の半谷理事は「卒業生には国内だけではなく海外にも多くいる。そうしたネットワークを活かせる、大学のグローバル化にも活用させていただきたいと考えている」とコメント。

 また、大阪大学の清川准教授は「20万人くらいOB・OGがいて、半分連絡がついたとして10万人。現役の学生アカウントが3万2000ある。この規模ではクラウド環境が絶対に必要で、教育向けに無償で提供しているところがいいだろうということになった」と説明。

 「無償で提供しているY社、G社とマイクロソフトの3社が候補に上がったが、多言語対応でG社と(マイクロソフトの)2社に絞り、何かがあった時に国内法が適用できるということでマイクロソフトを選んだ」とOffice 365 Educationを選択した理由を語った。

 また清川准教授は、「セキュリティが非常に心配だということがあり、その点は精査した。運用面では、止まらないシステムということが一番大事」という点も検討したと述べ、コスト面にも言及。10万人のOB・OGを加えて「13万人のアカウントになるが、現行システムに比べると85%のコスト削減になっている」と述べ、卒業生も含めた運用を考えると大きなコストダウンになるとした。

 日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター 文教営本部長 中川 哲氏は、「日本マイクロソフトは完全に日本の法令を順守して運営する。また、マイクロソフトは広告目的で運営していないのでメールのクローリングは行っていない。メールの中身を覗き見ることはない。研究内容は公開できないものが多いので、その点はよく問い合わせを受けるが、マイクロソフトは顧客のメールを覗き見ることは一切しない」と説明。Googleとの相違点を強調した。

 その上で、「教育機関で170万人ユーザーは国内最大シェアだが、マイクロソフトは教育機関向けサービスで利益を得ようとは考えていない。我々のサービスが最も優れているから、より多くの生徒・学生に使っていただきたいと考えている」として、今後Yammer Enterpriseの提供などさらに機能面を充実させることも合わせて紹介した。

教育機関で選ばれる理由
ストレージを25GBから1TBに増強、Yammer Enterpriseも近日中に提供

工藤 ひろえ