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新体制の狙いは? セールスフォース会長兼CEOに就任した小出伸一氏が会見
(2014/4/17 00:20)
速報でお伝えしたとおり、米salesforce.comは16日、セールスフォース日本法人に会長兼CEOのポジションを新設し、前HP社長の小出伸一氏を任命したことを発表した。取締役社長兼COOには、前シニア・バイスプレジデント兼エンタープライズ営業担当の川原均氏が就任。代表取締役社長兼CEOを務めてきた宇陀栄次氏は、取締役相談役に退く。
同日、新経営体制に関する記者会見が都内で開催され、小出氏、川原氏、宇陀氏と、米salesforce.com 社長兼副会長のキース・ブロック氏が出席した。
小出氏は「フォーブスに『最もイノベーティブな会社』と書かれたセールスフォースの経営に携ることになって光栄に思う」と挨拶。セールスフォースの会長兼CEOに着いた背景として、「『カスタマーサクセス』の企業理念と、『新しいデマンドをクリエイトしていく』というマーク・ベニオフの言葉に魅力を感じた。日本のIT市場はいま、成長がフラットやマイナスと言われ、それを各社が食いあっている状態だ。これからはデマンドを自ら作るのが重要になる」と語った。
なお小出氏は、1981年に日本IBMへ入社し、2002年には取締役に就任。2005年からはソフトバンクテレコム(旧:日本テレコム)で代表取締役副社長兼COOなどを、2007年から2014年3月末までは日本HPの代表取締役社長執行役員を務めた。
ブロック氏は、「宇陀のもと、日本市場で大きく成長し、セールスフォースの事業で成長の中心にある。これからさらに長期的に成長させ、日本法人を社員数2000名以上、売上10億ドルにまで成長させるために、小出を選んだ」と説明。「『会長兼CEO』のポジションを米国外で設けるのは初めて。それだけ重要視している」と語った。
川原氏は、「ITはコスト削減と見られがちだが、われわれはアプリケーションを短期間で開発できるなどのイノベーションで貢献していく」と挨拶。「もうひとつ重要なのがグローバルとの協業。今年1月から、日本での決定をもとに本社に支援してもらうという体制をとっている。日本市場に合ったビジネスをわれわれが判断し、そこに本社の知恵をつけてもらう」と、新体制について説明した。
宇陀氏も、「外資系企業は縦割りになって、なんでも本社に伺いをたてるということになりがちだが、それではスピードが遅くなる」と補足。小出氏は、「キース(ブロック氏)は、会長兼CEOを米国外で初めて設けて、日本の報告ラインを私に集約するという決定をしてくれた。これによって俊敏にビジネスを進める」と語った。
川原氏は成長の見通しについて「これまではCRMやコールセンターの分析が多かったが、ここ1年ほどではアプリケーションからセールスフォースにデータが流れてくるようになった。セールスフォースのビジネスが、SaaSのアプリケーションからPaaSのエンタープライズのシステムに広がってきたと感じる」と説明。「これでストライクゾーンが10倍ぐらい広がる。またディープなほうにも3倍4倍と広がる。そのニーズに俊敏に応えるために、人や投資、決定権を強化する」と語った。
また、強化ポイントとしてパートナーとのアライアンスを挙げ、「PaaSでのアライアンスを作っていきたい。特に、産業特化型のISVパートナーとのアライアンスを強化したい。また、Salesfore Oneによってモバイル向けの開発や運用が格段に簡単になるので、モバイル上でビジネスをしているパートナーやユーザーも増やしていきたい」と方針を示した。