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電通総研、要件定義から基本設計までのプロセスを支援する社内向けAIエージェントを開発

生成AIでシステム開発の上流工程を半自動化

 株式会社電通総研は9日、生成AIでシステム開発の上流工程を半自動化する独自のAIエージェントを開発し、本格運用を開始したと発表した。システム開発における要件定義や基本設計、アーキテクチャ設計の作業を、プロジェクトメンバーとの対話を基に行えるという。

上流工程AIエージェントのイメージ図

 電通総研によれば、社会や顧客のニーズが急速に変化する中、システム開発の現場では、開発工程全体の迅速化と成果物の品質向上が求められているという。しかし、従来の上流工程は、要件の網羅性や整合性を担保するためのコストが高く、その効率化が課題になっていたとのこと。

 そこで同社は今回、短期間での高品質なシステム開発を実現するため、要件定義から基本設計までのプロセスを支援する社内向けAIエージェントを開発した。社内のプロジェクトマネージャーや業務有識者との対話を通じて要求を整理し、改善提案を行えるとのことで、業務有識者の知見や自社の専門技術ノウハウを活用しながら、要件定義や基本設計といった設計作業を高品質かつ自動的に進められるという。

 また、案件ごとの設計情報を内部データベースに蓄積し、案件のライフサイクル全体で継続的に活用できる点も特徴。要件定義書や設計書は必要なときにすぐ出力でき、プロジェクトメンバーはAIエージェントに対して仕様確認や詳細設計、テスト設計の依頼を行えるため、開発工程全体の生産性向上に寄与するとした。

 仕様変更が発生した場合も、AIエージェントが影響範囲や修正案を提示し設計書を修正する機能を備えている。これにより、要件定義書や設計書の手動編集による設計上の抜け漏れリスクを減らし、上流成果物やシステム全体の品質維持に役立つとしている。

 なお、2025年6月に実施した検証では、従来手法と比べて要件定義や基本設計工程において30%の生産性向上が認められたとのこと。電通総研では、2027年までにすべての新規開発案件へ、このAIエージェントを導入する計画である。

 今後も、AIエージェントの継続的な機能強化を行うほか、自社開発の企業向けChatGPTソリューション「Know Narrator」との連携を推進し、AIエージェント技術のさまざまな業務領域へのビジネス適用を加速したい考えだ。