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ピュア・ストレージ、最新ソリューションやデータ主権への対応を解説 ビジネスの好調さもアピール
2025年10月3日 06:15
米Pure Storageの日本法人のピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、ピュア・ストレージ)は2日、年次イベント「Pure//Accelerate 2025 Tokyo」に合わせて記者説明会を開催した。
記者説明会には、ピュア・ストレージ 代表執行役員社長 五十嵐光喜氏と、Pure Storage コア・プラットフォーム事業部門 ゼネラル・マネージャー 兼 VP ショーン・ハンセン(Shawn Hansen)氏が登壇。Pure Storageのビジネス状況や、データ主権のテーマ、6月の「Pure//Accelerate 2025」およびその後に発表された新ソリューションを解説した。
グローバルと日本のビジネス状況を報告、データ主権についても語る
五十嵐氏は、ビジネス状況と、データ主権の課題とその対応について語った。
収益は2桁成長を続け、特にサブスクリプションが高い成長
まずはPure Storageのビジネス状況について。五十嵐氏は、7月に終了した2026年度第2四半期のビジネスを示す数字を挙げ、特に、収益が対前年成長率13%と、2桁成長を続けている点を強調した。
さらにその中でも、サブスクリプションARR(年間経常収益)が前年比成長率18%、サブスクリプション型の一種であるストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)が前年比成長率24%と、サブスクリプションビジネスが高い成長をキープしていることを強調した。
「この勢いは日本にもある」と五十嵐氏。IDCによる日本市場の調査から、オールフラッシュアレイ市場のシェアで1位という結果や、オールフラッシュアレイ市場全体の前年比成長率が16.6%であるのに対し、同社は41.8%の成長率であるという結果を紹介した。
データ主権は基本的なビジネスリスクの問題に
続いて五十嵐氏は「いま注目されている領域」として、AIやサイバーセキュリティを挙げつつ、それと並ぶものとして「データ主権」の問題を取り上げた。
「データ主権」について五十嵐氏は、「データの管理、アクセス、利用方法を決定する権限を誰が持つかという問題」と説明。近年の地政学的な不確実性や、各国の規制の強化により、データ主権がコンプライアンスの問題から、基本的なビジネスリスクに変わりつつあると述べた。
また、データ主権がいま必要とされる理由として、データの守秘性、パブリッククラウドの普及、地政学的な不確実性の3つを挙げた。
Pure Storageは、シドニー工科大学(UTS)との共同によるデータ主権に関する調査を実施している。世界9カ国の業界リーダーを対象としたパルス調査の結果、「100%が、データ主権リスク(サービスの中断を含む)により、データの所在を意識するようになったと回答」「92%が、地政学的な変化がデータ主権リスクを高めていると回答」「92%が、データ主権への不十分な対応は、レピュテーションの損失につながるおそれがあると回答」「85%が、対策を講じなければ最終的に顧客の信頼を失うと回答」「78%が、複数のサービス・プロバイダの採用、ソブリン・データセンターの導入、契約時のガバナンス条項の強化などのデータ戦略を既に実施していると回答」という結果を、五十嵐氏は紹介した。
このデータ主権への対応には、現状のまま、主権を完全に制御する、両者のハイブリッドという3つの選択肢がありうる。
五十嵐氏は「Pure Storageの提唱したいベストプラクティス」として、まずはどこにリスクがあるかリスクアセスメントし、そのうえでハイブリッドな対策を検討、もしくはさらに踏み込んで主権クラウドを検討・評価することを提案。さらに、今の規制が1年後もそのままとは限らないことから、規制の強化に備えることを付け加えた。
Pure Storageの最新ソリューションを紹介
ハンセン氏は、6月に米国で開催された年次イベント「Pure//Accelerate 2025」で発表された「エンタープライズ・データ・クラウド」のビジョンを基に、そこで発表されたものや、その後に発表されたものなどの新ソリューションを紹介した。
エンタープライズ・データ・クラウドは、運用管理の複雑さを解消する「自律型コントロールプレーン」、データのサイロ化と断片化を解消する「統合型データプレーン」、脅威や規制に対応する「サイバー・レジリエンス」の3つの側面からなる。ハンセン氏は、この3つそれぞれごとに、ソリューションを挙げた。
自律型コントロールプレーン:Kubernetesストレージとの統合管理や、ワークフローの自動化など
まずは「自律型コントロールプレーン」の分野。
この分野の新ソリューションは、まず、「データ・インテリジェンス」だ。1台1台ではなくフリート(一元管理する全体)のワークロードをリアルタイムで可視化するもので、そこから洞察を得られる。
2つめのソリューションは、Kubernetesストレージ「Portworx」のPure Fusionとの統合だ。9月に発表され、2027年度上半期に一般提供開始予定。これにより、強力なフリート管理機能が、クラウドネイティブなアプリケーションに拡張される。
3つめのソリューションは、「Workflow Orchestrator」だ。ワークフローのオーケストレーション機能により、アプリケーションからインフラまでフルスタックで管理を自動化する。
4つめのソリューションは、PortworxのAIエージェント「Portworx Pure1 AIコパイロット」だ。9月に発表され、現在一般提供中。Portworxの管理について自然言語で質問できるもので、例えばクラスター構成についてサポートチームに質問することなく回答が得られる。
統合型データプレーン:FlashArrayの新製品や、クラウドのエンタープライズ向けブロックストレージなど
続いて「統合型データプレーン」の分野。
最初の新ソリューションは、オールフラッシュアレイのフラグシップ製品の最新版である「FlashArray//XL 190 R5」だ。前モデルから、容量が25%増大、レイテンシーが50%低減、性能が100%向上したという。さらにハンセン氏は、競合製品と比べて高密度であり、ラックあたり最大29倍の容量を提供するため、競合の29ラックの容量を1ラックで提供すると強調した。
このR5世代(第5世代)製品としてはほかに、容量と価格を両立した「FlashArray//C R5」、性能を最適化した「FlashArray//X R5」も登場した。
次の新ソリューションは、「ピュア・ストレージ・クラウド」として、AWSとMicrosoft Azureで、エンタープライズ向けブロックストレージを提供開始した。これにより、オンプレミスとクラウドで同じエクスペリエンスが得られ、例えばオンプレミスのVMwareワークロードをクラウド上のVMwareサービスに移行するのに使えるという。
次の新ソリューションは、「Pure StorageのKey-ValueアクセラレータとNVIDIA Dynamoの統合によるAI推論の高速化・効率化」だ。9月に発表され、2026年度第4四半期に一般提供開始予定。NVIDIA Dynamoによる分散型AI推論において、分散されたGPUの近くに設けるデータキャッシュとして、Pure StorageをS3形式のKey-Valueストアにする機能を使うというものだ。これによって、AI推論を高速化するという。
サイバーレジリエンス:サイバーレジリエンス実現のためのエコシステムなど
3つめは「サイバーレジリエンス」の分野。
まず、Pure Storageに組み込まれたセキュリティ新機能で、ハンセン氏は4つを紹介した。1つめはセキュリティに関するAIコパイロットにより、例えばフリート全体のセキュリティ状況に関して自然言語で質問できるようにする「セキュリティ・アセスメント2.0」だ。2つめは、フリート全体ですべてのユーザーIDとアクセス管理を一元化することだ。3つめは、ハードウェアレベルでセキュリティを保護するTPM/UEFIセキュアブートだ。4つめは、大規模顧客が自前の暗号キーを使えるようにするBring Your Own Key機能だ。
また、システム全体のサイバーレジリエンスを、パートナーベンダーとのエコシステムによって実現するソリューションも、9月に発表された。
CrowdStrikeとの統合(2026年度第3四半期一般提供予定)により、Pure StorageのログをCrowdStrikeに流し、Pure Storage内で発生した問題をリアルタイムに検出する。同様に、Supernaとも連携する(一般提供中)。
また、Veeamとの連携(2026年度第4四半期一般提供予定)により、Pure Storageとバックアップとの包括的な可視化・自動化と、クリーンなデータリカバリを可能にするソリューションを提供する。
最後にハンセン氏は、「これらのイノベーションは小さいものに見えるかもしれないが、大きな変化は、1台1台ではなくフリートで管理できるようになったということだ。そして、世界中のどこからも、一貫性を持ってアクセスできる。私たちは、お客様がPure Storageに期待するシンプルさで、これらに簡単にアクセスできるようにしたいと考えている」と語った。