ニュース

テラデータ、Hadoop新ポートフォリオなど新たなビッグデータ活用支援策

 日本テラデータは3月20日、都内にて開催された同社のプライベートイベント「Teradata Universe Tokyo 2014」において報道関係者向けのメディアブリーフィングを開催、データマネジメントやアナリティクスなど同社が注力するビッグデータ分野の新製品および今後の戦略について発表を行った。

Hortonworksとの提携が生んだHadoopアプライアンス

 同日付けで発表された新製品は、Apache Hadoop(カスタマイズはHortonworksと協力)を事前インストールしたエンタープライズ向けアプライアンス「Teradata Appliance for Hadoop」、Teradata 14.0を搭載したエントリレベルのアプライアンス「Teradata Data Warehouse Appliance 2750」、SQLおよびSQL-MapReduceエンジンを搭載したデータ分析プラットフォーム「Teradata Aster Discovery Platform」の3点。

 このうち、最も注目されるのがTeradataのHadoop戦略の中心となるTeradata Appliance for Hadoopで、既存のインフラにアプライアンスを追加するだけですぐにHadoopをビジネスに活用できるとしている。基本構成は、Intel XeonベースのハードウェアにSUSE Linux Enterprise Server 11を搭載し、その上でHortonworksによるHadoopディストリビューション「HDP 1.3」が稼働する。最大1024ノード/10ペタバイトまで拡張でき、ノード間は40Gb/sのInfiniBandで接続される。当然ながら既存のTeradata/Aster製品との連携も可能だ。

 Teradataは2011年に非構造化データの分析を得意とするAster Dataを買収して以来、構造化データと非構造化データの両方を扱える分析プラットフォームの開発に注力してきたが、Hadoopに関しては2012年からHortonworksとの提携を強化する形でプラットフォームを拡充してきた。今回の新アプライアンスはこれまでの協力関係のマイルストーンともいうべき製品であり、「ITのスペシャリストを数多く抱えられない一般企業が、データの価値をビジネスにつなえるためのベストなプラットフォームを届けたい」(Teradata マイク・コーラーCEO)という同社の理念を形にしたプラットフォームといえる。

Teradata Appliance for Hadoopはエンタープライズでは扱いにくかったオープンソースのHadoopをワンストップかつ低コストで導入を可能にする
Hadoopアプライアンスなどの新製品追加により、Teradataポートフォリオはより幅広いレンジのユーザに提供が可能となった

データがビジネスを主導する時代にふさわしいプラットフォームを

米Teradataのマイク・コーラーCEO

 ブリーフィングには、イベントのために来日したコーラーCEOも出席し、今後のTeradataのビッグデータ戦略について語っている。

 NCRからスピンアウトして7年がたつTeradataだが、現時点での事業展開国は77カ国、顧客数は2500社以上、従業員数は1万名を超えており、ビッグデータ、特にデータ統合の市場拡大に伴って順調に業績を伸ばしてきた。そのTeradataが現在最も注力するのが、「データ駆動型ビジネス」の支援で、オンプレミス/クラウドを問わず、データ統合/分析のベースとなるプラットフォームをより広いレンジの企業に届けることを掲げている。

 「テラデータのミッションは非常にシンプル。世界最高のデータ分析ソリューションを提供し、お客さまのために価値と競合優位性を推進すること。つまりはお客さまにデータ駆動型ビジネスを実現してもらうことが重要」(コーラーCEO)。

 コーラーCEOのいうデータ駆動型ビジネスでは、データがあらゆる業務をリードしていく。具体的には、

・ビジネスのデジタル化 … コンテンツ(ニュース、広告、書籍、地図、etc.)やサービスのデジタル化、データそのものの販売/提供
・透明性と洞察 … データの増大による企業内/企業外データの透明化とそれによる影響
・オペレーショナルエクセレンス … 運用コストを削減し資産を最適化する予測モデリング
・カスタマーエクセレンス … 個々のカスタマーに最適化されたマーケティングやサービスの提供

といった“はじめにデータありき”のビジネスが今後の主流となるため、Teradataでは企業が必要とするデータの統合/分析のためのプラットフォームをワンストップで提供していくとしている。

 会見に同席したテラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏は「最近は百貨店で100万円以上する高級腕時計が売れているという。その購買層は年収700~800万円クラスで、従来の百貨店のマーケティングではターゲットに入っていなかった。こうした動向の変化に対応していくには企業内のデータと外のデータを掛け合わせた分析が必要になる。また、収集したデータをどこに格納するかも重要。今回提供するHadoopアプライアンスはその格納場所を広げるためのわれわれからの提案だが、すべてがHadoopで可能というわけではない。データにはそれぞれ適した場所がある」と説明。

 また、コーラーCEOとともに来日したTeradataのCTOを務めるスティーブン・ブロブスト氏も会見でプレゼンを行い、「データソースが多岐にわたっている現在、データはコストを考慮した適切な場所に格納されるべき。現在増えつつあるのは、既存のDWHで処理していたものとは異なるノントラディショナルなデータ。私は“非構造化データ”という言葉が嫌いなのであまり使いたくないが、リレーショナルではないデータを効率的に扱い、そこからビジネスに有益な価値を取り出すには、最適なプラットフォームが必要となる」と強調する。そして、「非構造化データのSQLインターフェイスによる分析を可能にするAsterや、今回発表されたワンストップHadoopを実現するHadoopアプライアンス、アクセス頻度の高いホットデータを自動でインメモリに格納する技術などが、Teradataプラットフォームの強みだ」としている。

テラデータの吉川幸彦社長
Teradataのスティーブン・ブロブストCTO

 ビッグデータというバズワードが陳腐化し始めたようにも見える昨今だが、データアナリティクスへの関心は高く、市場の強いけん引力となっている。Teradataではこうした需要の増大に伴い、データ分析コンサルタントを大幅に増員し、パートナー企業と連携しながら企業のデータ活用支援策を打ち出していくなど、“データドリブン&アナリティクス時代”への対応を急ピッチで整備していく構えだ。

五味 明子