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「東京で4番目のデータセンターをなぜ大手町に開設するのか?」~エクイニクス・ジャパン
(2013/3/27 06:00)
エクイニクス・ジャパン株式会社(以下、エクイニクス)は26日、東京で4番目となるIBXデータセンター「TY4」が、2013年8月、東京・大手町に開設するのを前に、その紹介セミナーを東京・浜松町の同社本社において開催した。
同セミナーは、クラウド事業者やコンテンツプロバイダー、金融取引事業者などを対象に、TY4の詳細などについて説明するもので、3月26日に第1回を開催。今後、10人前後の小規模セミナーとして、数回に渡って開催する予定だ。
エクイニクスの古田敬社長は、「オフィスをリニューアルしたこともあり、社内施設を利用して、こうした機会を作った。TY4は、最新の都市型データセンターとなる。小規模なセミナーとしたことで、お互いに情報交換できるような形で進めたい」と、今回のセミナーの狙いを語った。
大手町に750ラック相当のキャパシティを用意
エクイニクスは、米国カリフォルニア州に本社を持つ、グローバルコロケーション市場におけるサービスプロバイダーで、世界15カ国31主要都市において、90カ所以上のIBXデータセンターを運営。全世界では4500社以上、日本でも200社以上のユーザーを持つ。
今年8月に開設するTY4は、大手町フィナンシャルシティに設置。エクイニクスが提供するワールドクラスのキャリアニュートラルデータセンターのひとつと位置づけている。世界900社、国内70社以上の通信事業者を選べるエクイニクスの相互接続プラットフォーム「Platform Equinix」を通じて、グローバル市場への迅速な参入が可能になる。
エクイニクスの武堂貴宏マーケティングマネージャーは、「TY4は、新耐震基準の最新ビル内に、750ラック相当を用意。当社の世界90カ所以上のデータセンターのなかで、ここまで最先端都市のなかにあるデータセンターはほかにはない。都市部にあることが強みになり、ユーザーのビジネスに生かすことができる。だからこそ、今回は、データセンターの場所を明確に示している。地域としても万全な災害対策が施され、十分なスペースと電力を供給でき、日本で最もネットワークが集まるデータセンターとなる。国内主要IXに至近なロケーションにあり、独自のIXサービスを提供できる」などとした。
具体的な場所としては、大手町フィナンシャルシティ ノースタワーの地下1階および地下3階部分を使用する。地下1階は、階高で6メートル。132ラックを設置したコロケーションルームのほか、同社独自のミート・ミー・ルームを用意。8月5日から運用が可能になるという。
また地下3階は、階高が9メートルとなっており、8月5日から運用する295ラックを持つコロケーションルームと、12月上旬から運用する351ラックを持つコロケーションルームから構成される。
これらのコロケーションルームは、監視カメラやテンキー付きカードリーダーのほか、入退出時の静脈認証システムなどの導入などにより、セキュリティ面での強化を図った
。
なお、地下1階および地下3階ともそれぞれのフロアにあるレストラン街と直結しており、その点でも一般的なデータセンターとは大きく異なるロケーションだといえる。ちなみに、地下2階部分は駐車場になっているとのことだ。
インターネットの中心地である大手町に設置
今回のセミナーでは、TY4を大手町に設置した理由についていくつかの理由が述べられたが、武堂マーケティングマネージャーは、「大手町は経済の中心であるが、ICT産業から見れば、日本の大手通信事業者が集まっている場所であり、インターネットの中心地でもある」という点を指摘。
「国内主要キャリアによる充実した光ファイバー網のほか、JPIX、JPNAP、BBIXといった3大IXが集中しており、当社の進出によってEIEが加わる。インターネットトラフィックの9割が大手町を経由することになる」と述べた。
「しかし、大手町にデータセンターは足りていない。すでにあるデータセンターは老朽化の問題もあり、拡張ができないため、新たなデータセンターが求められている。当社のIBXデータセンターをAWSが利用しており、AWSに接続したいというユーザーにも利用されていたが、TY4も、ほかのデータセンターと同様に、クラウドベンダーやコンテンツプロバイダーがネットワークのエコシステムを作って利用するというケースが多いだろう」などとした。
また同社では、大田区平和島のTY1、品川区品川のTY2、江東区枝川のTY3のほか、虎ノ門、日本橋、大手町、豊洲の都内に4つのネットワークノードを設置しており、これらとTY4とを、自社専用の通信回線で相互接続することで、利用顧客同士の直接接続が可能になるほか、「同一都市内において仮想的なデータセンターキャンパスを構築するメトロコネクトを実現。都市にネットワークが集中していること、都市に利用者が集中していること、都市にビジネスが集中していることから、都市にデータセンターを設置することが適している。遅延などの問題も解決できる」(エクイニクスの徳久和幸セールスディレクター)などとしている。
なお、かねて検討している大阪へのデータセンターの設置については、「近いうちになんかしらの発表ができる」(徳久セールスディレクター)とした。
耐災害性に優れるTY4
またTY4では、耐災害性にも優れていることが繰り返し強調されている。
入居する大手町フィナンシャルシティは、阪神大震災クラスの震度7クラスの地震でも、ビルが継続運用できる耐震性能を実現。TY4の海抜は4メートルであり、津波リスクがないことのほか、大手町はハザードマップでは完水の恐れがない地域であること、液状化マップでも液状化がほとんど発生しない地域となっていることも示す。
武堂マーケティングマネージャーは、「大手町は、災害時に電車が止まっても、徒歩で行ける場所にある都市部のデータセンター。また、大手町は活断層からはずれたロケーションであり、安定した地層の上に直接基礎を構築している」などと述べ、災害時にも強い環境であることを訴えた。
さらに、「地上よりも、地下の方が地震の影響を受けにくいという点を考慮した」とする一方、「地下であるだけに、浸水の問題を気にするケースもあるが、外壁は二重壁になっており、二重壁内に漏水した場合でも漏水センサーが監視。下階の二重壁内を通り、地下貯留槽に排水し、ポンプアップできるようになっている。天井も二重スラブになっている」などと語る。
これについては、エクイニクスの片柳哲プロジェクトマネージャーも「大手町フィナンシャルシティは、200年に1回の大雨で荒川がはんらんした際に想定される0.5メートルの洪水に対して、0.6メートルの防潮板で洪水対策を講じているほか、万が一、防潮板を水が越えた場合の対策も施している」と述べ、万全の対策を講じている点をアピールしていた。