日本HP、ビジネス向けに最適化したWindows 8タブレットを発表
コンパクトな本体に耐久性、セキュリティ、拡張性を装備
日本HP 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏(左)と日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は10月18日、法人向けPCの新製品として、ビジネスニーズに最適化したWindows 8搭載タブレット「HP ElitePad 900」(以下、Elite Pad 900)を、2013年2月下旬より販売開始すると発表した。新製品発表会では、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏をゲストに迎えたトークセッションも行われた。
新製品のリリースにあたり、日本HP 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏は、「ITのコンシューマライゼーションやモバイル化が急速に進む中、企業で使われるデバイスやシステムも、このニーズに対応したものを提供していかなくてはならない。このことは、ITベンダーとして、今後生き残れるかどうかのインパクトがあると認識している」と、コンシューマライゼーションへの取り組みの重要性を指摘。「現在の企業クライアントコンピューティングは、1人1台、すべての端末が会社支給で、持ち出し禁止となっている。しかし、今後は、個人所有も含めて1人が複数台の端末を持ち、どこからでもアクセスできる環境が求められる」と、企業クライアントコンピューティングの位置づけが大きく変化しているとの考えを示す。
日本HP 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏 | HPのモバイルソリューション展開 |
「一方で、新たな企業クライアントコンピューティングを実現するには、エンドユーザー側のニーズだけなく、管理の簡素化、コスト低減、セキュリティ強化、事業継続、環境配慮といったIT部門側の要件もクリアする必要があり、多くのIT管理者が頭を悩ませているのが実状だ。そこで今回、こうした課題を解決するため、法人向けの“ビジネスタブレット”という位置づけを明確にした新製品を発表する」と、岡氏は力を込める。「また、今回のタブレットをコアにして、Ultrabookやモバイルプリンタ、業種/業務に特化した製品など、今後も幅広くモバイルソリューションを展開していく」と意欲をみせた。
「ElitePad 900」 | 「ElitePad 900」の背面 |
新製品の「ElitePad 900」は、10.1インチWXGA(1280×800)マルチタッチディスプレイを搭載し、ビジネスのニーズに応えるスペックを備えたWindows 8搭載タブレット。フロントのホームボタン、底部にシステムコネクターというシンプルな構成で、薄さ9.2mm 重さ680gという薄型軽量モデルとなっている。
筐体は、耐久性の高いアルミニウムの一体成形で製造され、頑強かつ継ぎ目のない美しいデザインを実現。また、ディスプレイ部には高い耐久性をもち、従来比で20%薄型化したCorning Gorilla Glass 2を採用した。この構造により、76cmからの落下や振動、粉塵、過酷な温度条件など、米軍調達基準「MIL-STD-810Gテスト」をパスした強靭な堅牢性を備えている。
さらに、「ElitePad 900」は、MicroSDスロット、非接触ICカードによる本人認証や電子マネー決済などに使用できるセキュアエレメント付きのNFCリーダー、各種センサー(ジャイロセンサー、加速度センサー、デジタルコンパス、周辺光センサー)を搭載するほか、フルHDの前面カメラと背面の8メガピクセルカメラ、SRSオーディオ機能、画面回転固定スイッチなども搭載。また、BitLockerによるデータ暗号化に対応するとともに、ポートアクセス制御が可能な「HPデバイスアクセスマネージャー」など優れたセキュリティ機能も備えている。
日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長の九嶋俊一氏 |
日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長の九嶋俊一氏は、「『ElitePad 900』には、プレミアムデザイン、堅牢性・セキュリティ、操作性・機動性、運用性・管理性という4つの要件から、タブレットをビジネスで使うための機能をすべて集約した。また、シンプルでコンパクトな本体に、オプションのジャケットを組み合わせることで、用途をさらに広げることができる」と、拡張性に優れた点も新製品の特徴であると説明する。
例えば、「拡張ジャケット」ではUSB2.0、HDMI、SDカードスロットなどのインターフェイスを提供するとともに、薄型の追加バッテリを同時装着することが可能。これにより、標準バッテリで10時間、追加バッテリの装着で最大約18時間の連続駆動を実現する。また、「キーボードジャケット」を接続してノートPCとして活用したり、バーコードリーダーを搭載したジャケットと組み合わせてPOS用途として利用するなど、タブレットをコアにしたソリューションの提供も計画しているという。
機動性を高めるバッテリージャケット | ノートPCの操作性を提供するキーボードジャケット |
販売価格は未定だが、「現在販売しているWindows 7搭載の法人向けスレートPCと同等の約7万円前後を想定している」(岡氏)という。
日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏 |
新製品発表に続いて、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏をゲストに迎えたトークセッションが行われた。トークセッションの中で樋口氏は、「日本HPとは、グローバルでフロントラインパートナーシップを結んでおり、Windows 8についても開発段階から、HPのハードウェア上で検証を行っている。Windows 8は、個人のデバイスを企業内で使う際にも、セキュリティを担保できるテクノロジーを備えており、このOSを搭載した『HP ElitePad 900』は、ビジネスタブレットとして最適といえる」と、新製品への期待を述べた。
さらに樋口氏は、「Windows 8は先進的な使い方と、従来型のインターフェイスの両方を兼ね備えており、情報の閲覧だけでなくクリエイティブな作業もタブレット1台で行うことができる。また、従来のタブレットは、企業の基幹業務システムとは接続できなかったが、Windows 8であればこの問題も解決できる」と、Windows 8はビジネスタブレットに必要なソリューションをすべてカバーしていることを強調した。