日本IBM、仮想的なテスト環境を自動構築するソリューション

大規模なシステム間連携の開発を支援


理事 ソフトウェア事業 ラショナル事業部長の渡辺公成氏

 日本IBMは21日、仮想的なテスト環境を自動構築するソリューション「IBM Rational テスト仮想化/自動化ソリューション」を発表した。

 同ソリューションは、システム開発において、コンピュータ上に仮想的なテスト環境を自動構築することで、品質保持と同時にテスト期間の短縮およびコスト削減を支援するもの。

 「昨今、1枚のICカードで電車やバスの利用だけでなくショッピングができ、スマートフォンで銀行口座への振込や商店のサービス・クーポンの取得ができるなど、利便性の高いサービスが登場している。このような環境は、企業をまたがって連携する大規模なITシステムに支えられており、システム間連携は増加の一途をたどっている。基幹システムやクラウド、モバイル端末などを連携させるシステム構築においては、膨大な組み合わせのシステム間接続テストの重要性が増している。最後には一定基幹システムを停止させ、全システムを連携させた稼働テストを行うが、この段階で不具合が発見され、稼働開始が予定より遅れることも少なくない」(日本IBM)。

 同ソリューションは、テスト対象となるシステムへの入出力を仮想的かつ自動的に再現する。これにより、テスト対象システムと接続するシステムの完成を待ったり、稼働を呈したり、テスト環境を実際に構築することなく接続テストが行える。

 結果として、テスト時間の短縮やテスト環境構築への投資と手間が削減できる。また、仮想環境での接続テストが可能になることで、システム開発工程の早い段階で不具合の修正ができるため、開発の最終段階での問題発覚による開発遅延といったリスクを低減できるのが特長となる。

 同ソリューションは、実際のシステムの動作モデルを作り、シミュレートする「IBM Rational Test Virtualization Server」、エンドツーエンドの機能テスト、回帰テスト、ロード・テスト、および統合テストを提供する「IBM Rational Test Workbench」、多くの要素から成るアプリケーションのコンポーネント全体のパフォーマンスと拡張性を把握する「IBM Rational Performance Test Server」から構成される。

 これらを使うことで、複雑に連携するシステム間のプロトコルやつながりをキャプチャして、仮想的なテスト環境を構築してくれる。

 「実際の事例として、品質テストに必要な時間を94%削減したり、障害発生率を40%削減したりした実績を持っている」と理事 ソフトウェア事業 ラショナル事業部長の渡辺公成氏は語った。

 価格は4000万円からとなる。

 これに併せて、アジャイル開発において人と人のつながりを明確にする「IBM Rational Collaborative Lifecycle Management」の機能強化、および開発と運用の連携を支援する「IBM SmartCloud Continuous Delivery」のベータ版を発表した。

 これらにより「ウォーターフロー開発にいかに上手くアジャイル開発手法を採り入れるかを提案したい。また、従来当社では事業(ユーザー)部門と開発部門のライフサイクル管理を支援してきたが、それに加えて開発後に活躍する運用部門との透明性、トレーサビリティの実現をお手伝いしたい。それがこの分野における日本IBMの基本的な考え方になる」(渡辺氏)とした。

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(川島 弘之)
2012/6/21 14:07