MKIが医療IT分野に進出、「ゲノム解析プラットフォーム」開発着手
三井情報株式会社(以下、MKI)は16日、「ゲノム(全遺伝情報)解析プラットフォーム」開発により、医療IT分野に進出すると発表した。
同社は昨年、がん研究におけるゲノム解析と、創薬開発プロセスにおける化合物データ解析にビッグデータ分析を活用する実証実験に着手した。そこでゲノム解析におけるプロセス簡素化・高速化へ向けた成果を得た。
具体的には、膨大なゲノムデータを高速解析するアルゴリズムの構築と、従来のゲノム解析で時間を要した手動によるデータ読み込み作業の簡素化に成功。この成果を基に、がん細胞のゲノム解析に基づく「個別化治療」と「新薬開発」を可能にする解析システム「ゲノム解析プラットフォーム」の開発に着手する。
データのリアルタイム処理の実現には、SAPジャパンのインメモリソフト「SAP HANA」を活用。分析前のデータ分散処理とストレージ機能には「Hadoop」を適用し、データのモデル化と分析処理にはOSSの「R」を組み合わせることで、同プラットフォームを実現する。
同プラットフォームにより、高速・安価にゲノム解析が実現すれば、臨床現場で個人のゲノム解析が可能となり、個別化治療の実現が考えられる。また、臨床現場で活用するゲノム解析プラットフォームを新薬開発の場でも利用することで、新薬開発の効率化をサポートする。
昨今、ゲノムの塩基配列を決定する装置であるDNAシーケンサーの発達により、個人のゲノムデータの高速な読み取りの実現に期待がかかっている。この読み取ったゲノムデータを解析することで、遺伝子レベルによるさまざまな病気の原因を解明することが可能となる。特にがんの原因はゲノムの変異であることが知られており、高度な解析技術と解析結果の表示が実現すれば、臨床現場でのがん治療は大きく発展するとされている。